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変な奴...
今時、幼稚園児だって絵本と現実の区別はつくのに
マナトの横にはもう一つイスが用意され、そこにはユウがちょこんと座らされている
時々ちらちらとマナトを見て、目が合うとそれはうれしそうに笑うのだ
「ユウくんお絵かきは終わったの?」
「う?うん...えっとねぇ...これがせんせぇで...これがみぃくん」
ユウが机に広げたノートにはクレヨンで大きな丸、その中に小さな丸が二つに赤い丸が一つ
どうやらそれが顔らしいのは椎名とユウの会話から推測した
「上手だねぇ、僕も書いてくれたんだぁ、うれしいなぁ」
「えへへ」
二人のやり取りを見ながらマナトはずっと眉間にしわを寄せている
へたくそな絵に変なしゃべり方
いくらなんでも幼すぎる
「これって先生の子供?」
マナトはユウに向かって指をさすと、椎名はそれを笑い飛ばして否定した
「まさかっ!僕は独身だよ」
「ふーん...小さいからそうかと思った」
「小柄だけどユウくんはもう18歳だよ」
「えっ!!!!???」
マナトは驚いて立ち上がった
「うそ...だろっ!?...だって...」
マナトはもう一度ユウをまじまじと見つめて唖然とした
こんな幼いのがまさか自分と同じ年...むしろほんの三か月だけど年上なんてありえない
「もしかしたらマナトくんと...同じ年かなぁ」
「...っ」
「本当はいくつ?16?17?...20歳はちょっと大人すぎるかな」
どうやらマナトが危惧したように椎名は彼の嘘を見抜いていたらしい
マナトは諦めるようにストンとイスに腰を下ろした
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