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「ふっ...ひっく...うぅ....っく」 一度堰を切った涙は止まる術を知らず、今度はひたすら流れて止まらなかった 左手で首元に触れて首輪がついていることに安心した 大丈夫だよね...まだ繋がっているよね...? 動くと立ち上がる彼の匂いに嬉しくなって...切なくなって悲しくなってとにかく一日中泣いていた 「いつまで泣いてんの?うるさくて寝れないんだけど」 イライラしたミツルは部屋から聞こえる延々と続くすすり泣きにしびれを切らしてユウの元を訪れた 泣き暮れるユウの前にどかっと胡座をかいて座る 「ふっ...うぅ...んくっ...ひっく」 「ねー、そんなに泣くなら部屋から出さないよ」 来てくれた事は嬉しくて、かけられた言葉は悲しくて拭ったそばからぶわっと目元が霞んでいく 「ぅうー...ぁうぅ」 「もー、泣かないでよ、お腹空か空いたでしょ?これ食べる?」 顔を覆った手を離すとミツルの手は赤いものが入ったガラスの容器を持っていた 「イチゴだよ、分かる?お前好きでしょ?」 いちご...? ...食べた事あるの そう...あれは彼と先生と"おたんじょおび"をした日 大きな大きなとびっきり甘いの上に乗った赤いやつ 俺のもあげるねって全部ユウにくれたの 楽しかった事を思い出すとまた泣けて、だけど連日何も与えられていないユウの腹は空腹を思い出したかのように鳴り出した すると彼はお皿を床に置いて両手をユウの前に突き出した 「...?」 ミツルの右手のひらには一枚の銀色のコイン 彼はそれを見せるとキュッと握って笑う 「ここで問題、このコインはどっちの手の中にあるでしょう?」 「...う?」 「選んで?当てたらイチゴ食べさせてあげる」 選ぶのが苦手なユウに彼はニコニコした笑顔を見せる それはとても楽しそうではしゃいでいるようにも見えた でも彼は目の前で握った手を少しも動かさなかった 必然的にコインのありかは右手の中 いくら理解の乏しいユウでもそれぐらいは理解できた ユウはおずおずと握られた右の拳にペタンと小さな手を重ねて上目遣いにミツルを見つめる 「あたり!すごいね!あーん」 彼は大げさに褒めるとイチゴをユウの口元に運ぶ ぽっかり空いた口の中に投げ込まれたイチゴは空腹のユウの中にあっという間に消えていった 甘くてみずみずしい味が口の中に広がって余計にお腹がすいてくる 「じゃあ、もう一回ね」 そう言いながらまたコインを握りしめてユウに選ばせる 簡単な問題、当たり前すぎる答え 何度も繰り返し正解するたびにユウはイチゴを頬張った そしてまた拳をユウに突き出したミツルは今度はいたずらな笑みを浮かべる 「じゃあ次はちょっと難しいよ?できるかなぁ」 そう言うとコインはヒュッと上に飛んでから左右の手を行ったり来たりしながら隠れてしまった 「はい、どっちだ?」 キョトキョしながら目で追って...けれどさっきまでとは違う動きにユウは付いていけない えっと...えっと...どこ?分かんない 悩んだ末にペタッとユウは彼の左手に触れる 握られた両手がゆっくりと開くと左手は空 銀のコインは右手の中から顔を出した 「あーぁ、残念」 「ぁ...」 間違えてしまえばイチゴはもらえない まだまだ食べたりないユウはそのショックに顔を歪めていた 間違えた代償は単純に食べさせてもらえないこと ...それだけだと思っていた 「じゃぁ間違えたからお仕置きね」 まるで間違えるのを持っていたようにミツルは口の端を引き上げてシャツの裾から手を入れて素肌に触れた 「-----!!!!」 急にバチバチと響く電流の音と真っ白に飛ぶ意識 その瞬間、のけ反るように飛び上がり叫び声すら上げられずにユウは倒れこんだ

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