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黒塗りのハイヤー
気難しいそうな運転手が甲斐甲斐しくドアを開けてくれる
助手席には涼介
後ろにはユウを真ん中にして、椎名とマナトも乗りこんだ
「りょおくんのおうち、そらがおっきいのっ」
「あのねっ...あのっ...あのねっ」
ユウはマナトにしきりに話しかけて気を引こうとしている
はじめて接する年の近いマナトの存在が物珍しく、なんだかうれしそうだ
マナトはその間、ずっと外を眺めてユウを見向きもせず無視を決め込んでいた
胸の中で舌打ちしながら帯のように流れていく街のネオンを見送って、これからどこへ行くんだろうと考えていた
なんだかよくわからない方向にどんどん話が膨らんでいく
助手席の涼介はこれでもかというくらい座席を下げてくるし、ユウは横でわけわかんない事いってるし....うるせーなぁ
それでも「帰る」と一言いえば済むはずなのにそれをしなかったのはなぜだろう...
「涼介!それじゃマナトくんが狭いだろっ!!」
「えーっと...マナト!お前は?なに食いたい?」
言われるがままついてきてしまったのはこんな風に大人が世話を焼いてくれたのははじめてだったから
「マナくんっ...はぁ、なにがすきぃ?」
「うっせ」
悪態付きながらもマナトはとりあえず今日の寝る場所を確保できたことにホッとしていた
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