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「ユウくん?大丈夫?」
「んぅ...」
ユウはいつの間にか睡魔に襲われるように頭をふらふらさせている
「眠くなっちゃったね、もう帰るから」
椎名が抱き上げるとユウは当たり前のように首に手を回し、その肩に安心しきった顔をうずめる
「マナトくんは気兼ねしないでここにいてね?」
「勝手に決めんなつーの」
「涼介は、マナトくんにくれぐれも冷たくしない事!!いいねっ!?」
椎名は涼介にビシッと強めに言い聞かせてからユウを抱えて部屋を出て行った
「.....」
2人が帰るとまるで火が消えたように部屋はシンと静まり返る
その沈黙に耐えかねてマナトは涼介に問いかけた
「なぁっ!あの、ユウって奴、なんか変じゃねぇ?!」
「あ?」
すると涼介の鋭い目がマナトを睨みつけるように向けられた
「だ...だってバカみたいじゃん!?俺と年が変わんないって言うのに喋り方も仕草もガキみてぇ」
涼介の視線にたじろぎながらも問いかけを続けるマナトに涼介はうんざりするような顔で言った
「お前さ、本当はマサキの家に泊めてもらおうと思ってたんだろう?」
「....それは....」
「あいつのとこにはユウがいるんだからお前まで行ったらキャパオーバーなんだよ、不満かもしれないけど、泊めてやるんだからありがたいと思え」
「....」
言い返すこともできないマナトに涼介は廊下の向こうを指さし「ゲストルームはあっち」とそっけなく告げた
その態度からこれ以上会話をすることすら望んでいないことが分かったマナトは言われるがまますごすごと引きさがる
パタパタと涼介の足音が自分の後ろから遠くなっていくのがなんだか無性に寂しくなった
「おい、マナト」
思わず声をかけられて勢いよく振り返ったマナトに涼介は言った
「ユウのこと、バカにしたら殺すからな、覚えておけよ」
涼介は強い力で扉を閉めて自分の部屋へ入ってしまった
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