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、
「せんせっ...ユウがおすのっ」
「はいはい、待ってね」
車から降りた二人は手を繋いでマンション内へ向かい、エレベーターが目的の階につく
開けた廊下を見るとユウの胸がトクンッーーとなった
見覚えがあるのは忘れられないからだ
彼に別れを告げられたあの日、自分はせんせぇに抱かれてここを通った
涙でぼやけてしまった視界に映ったのは決して開くことのない扉
完全に拒絶されてしまった自分はもう二度とここには来れないと思っていた
もう二度とあの扉は自分を迎え入れてはくれないのだと思っていた
「ユウくん、じゃぁっ押してください」
「はっ、はーいっ!!」
椎名に抱えられてインターホンを押すと、扉の向こうからガチャリと音がする
鍵を開ける音はいつ、どこで聞いても胸がドキドキする
ーーどうかこの音がずっと自分を迎え入れてくれるものでありますように
どうか二度と自分を締め出さないものでありますようにーー
ゆっくりと扉が開くまで祈るように深呼吸をする
「ユウ」
柔らかな声に導かれるようにユウは閉じていた目を開けた
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