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「これなに?」 「あっ...えっと...えっと....うっ、うさぎさんっ!!」 「へぇ、上手だね、じゃあこれは?」 床に座り込んだミツルの膝の間でユウはノートを広げている 「んっとね、えっと...ぞうさんっ!!」 一生懸命説明するのはウサギともゾウとも判別できない下手くそな絵 それでも少し前よりは随分マシになった 毎回見せられるそれはユウの成長の証が刻まれている 「これは、みぃくんっ!!あと、こっちも...あとこれとこれもっ...みぃくんっ!!」 「俺ばっか...」 毎日毎日、彼を描いては馳せる思いをユウはミツルに伝えたくて仕方がないようだった そんなニコニコ顔で見上げられたら何にも言えなくなる ミツルはにやけてしまう顔をユウに見られないようにペラペラと次をめくった するとあるページでその手が止まる 「これは?」 「う...?」 ミツルの指差す先には黄色のクレヨンで描かれた人の顔のようなもの 「これはマナくんっ!!」 「マナ?」 聞き覚えのない名前にミツルがピクリと反応する 「マナって誰?」

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