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、
今の二人のスケジュールは週に一度の面会と月に一度の宿泊
それも三年かかってやっとここまでこぎつけたのだ
「2人ともよく頑張った」
「そうかな...」
「もっと2人の時間を増やそうよ」
駐車場に着くとミツルは助手席にユウを乗せようと身体を傾けた
気が付くとユウの手はいつの間にかミツルのシャツをしっかり握っていた
ミツルは、ふっと微笑むとそれを優しく解いて指先にキスを落とした
「みぃく...ん」
小さく聞こえる寝言に返事をするように閉じた瞼にも唇を寄せる
「おやすみ、ユウ」
見計らったように運転席に椎名が乗り込むとミツルは助手席のドアを閉めた
「気を付けてね」
車の窓にもたれるユウの頬をガラス越しに撫でてから二人を乗せた車を見送る
遠ざかっていくエンジン音を聞きながら車が角を曲がって見えなくなるまで佇んでいた
ーーこれからまたユウのいない一週間が始まる
”いい子すぎちゃって...もっとわがまま言ってくれてもいいのに...”
「わがままか....」
椎名の言葉を思い出して繰り返すように呟いた
ユウはこの一週間、またわがままも泣きごとも自分の気持ちを一切言わない、”おりこうないい子”で過ごすのだ
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