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「ユウ、そんなに泣かないで?ね?」 もっと時間があったなら...飽きるくらいたくさんのことをしてあげられるのに残された時間はあとわずかだ ユウを泣き止ませて説得して納得させるという大仕事が5分で終わるとはとても思えなかったけれどミツルは頭をフル回転させて考えた 真っ赤な目で顔を歪めて全身で拒否をするユウにミツルは落ち着いた声で語りかけた 「ねぇ、ユウ聞いて?」 それは深い意味などなくてとっさに考え付いたことで少しでも納得してくれればいいな...なんて安易な気持ちでいった言葉だった 「ユウ、先生を困らせたりしないで?」 「....っ?」 潤んだ目で見上げたユウの頭を撫でながらミツルは続けた 少しずつ椎名のおかげで理解できる言葉が増えたユウにどれだけ伝わるかは分からなかったけれどできるだけ簡単な言葉を探して聞かせた 「ユウがずっと泣いてると先生が心配するよ?先生は俺たちのために一生懸命頑張ってくれているんだから」 自分の代わりにそばにいてくれる先生をユウが信頼しないわけがないからこれならきっと分かってくれると思った 「先生を困らせたくないからワガママは言わないで?」 「わが...ま?」 ワガママという言葉に首を傾けるユウにミツルは懇々と言い聞かせた

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