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”みぃくん”とはユウ曰くとても優しくて、恰好が良くて、なんでも知っていて、なんでも出来るいわゆる「完璧な人間」らしい
世の中のありとあらゆる褒め言葉の詰め合わせのような説明だけでは留まらず
「それでねっ、背もおっきくって、手もおっきくて...あと、あとねっ、目がとってもキレイで...」
「もういいよっ!!」
このまま聞いていても一向に終わりが見えないユウの話にマナトはげんなりして止めに入った
そんな完璧な人間がいるとは思えないがユウの口ぶりからしてそれがどれだけ大事な相手なのかはすぐに分かった
キラキラしたユウの目はまるで目の前に「みぃくん」がいるみたいに憧れに満ちていた
なんだかイライラする....
マナトは胸に真っ黒な靄が広がっていくのを確かに感じた
椎名や涼介から常に守られているくせに、さらに強く思いあう相手がいることにマナトは動揺を隠せない
特にマナトの怒りに触れたのはユウのこの一言だった
「みぃくんは、ユウのこと大好きっていってくれるのっ!」
誰からも相手にされない自分には絶対に感じることのできない”愛されている自信”
マナトは嬉しそうに話すユウを睨みつけると鼻で笑って言った
「お前、嘘つきだな」
「え...?」
なんにも考えずにのほほんとしているユウを傷つけたくてたまらなくなった
「そんなに優しくて、お前のことが大好きなくせになんで離れて暮らしてんだよ」
その言葉にユウは一瞬固まってすぐに口元から笑顔が消えた
明らかに動揺して唇が震えているのが見える
「えっと....」
「そもそもなんでそんなに完璧な人間がお前なんか好きになるわけ?ありえないじゃんっ」
言えば言うほど真っ青になっていくユウを内心で大笑いしながらマナトはなおも続けていく
「本当はお前なんか好きじゃないんだよっ、きっと捨てられたんだ」
すると今まで大人しかったユウが急に大きな声で叫んだ
「ちっ...ちがうもんっ!!」
ユウは真っ赤な目に涙を溜めて、唇を噛み締めながらマナトを睨みつける
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