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「あはっ、図星かよっ!お前なんか本当は要らないんだ」 「ちがうもんっ!!みぃくんっ、ユウのことすきだもんっ!!」 必死になって”ちがう”と繰り返すユウにマナトはケラケラと笑って歩み寄る ーーもっと傷つけ もっともっと傷ついて底辺まで落ちればいいんだ 「こんなの俺が捨ててやるっ!!」 マナトはそういうとユウが大事に抱えたぬいぐるみを掴みとろうとした 「やっ...やぁっ」 乱暴に引っ張られるぬいぐるみをとられまいとユウは必死になって抱え込む するとビリッーーーと二人の間で何かが裂かれる音が聞こえた 「「あっ!!」」 思わず二人同時の声を上げると、ユウの腕からぬいぐるみが床にポスンと落ちる よく見ると床に転がったぬいぐるみはペンギンの腕が裂けて綿が飛び出していた 無残なその姿にマナトもさすがに”まずい”と思った瞬間、ユウは火が付いたように泣きだしてしまった 「うわぁぁぁぁあああんっ!!」 「わっ、わっ...そんな泣くなよっ、ただのぬいぐるみじゃねぇかっ!!」 あまりの泣きっぷりに驚いてたじろいでいるとその大声を聞きつけて椎名が慌てて戻ってきた 「どうしたの?!....あれ?マナトくんっ?!」 仲良くしろと言われたはずなのに泣かせてしまったのを見られたマナトはバツが悪くて俯いた 「せんせぇぇぇっ!!」 ユウは椎名に抱きついてなおも大声で泣き続けている 「はいはい、泣かないの、一体何があったの?」 ユウの頭を撫でて宥めながら、椎名はマナトに事の状況を問いかけた ユウを傷つけてぬいぐるみを破ったなんて口が裂けても言えないマナトは目を逸らして唇を尖らせる 「.....」 このまま無言を貫こうとした矢先、椎名の後ろからひょっこりとあの男が現れた 「てめぇ、俺のユウになにしてくれてんだよ」 そのドスのきいた声と威圧的な態度にマナトはギクリとして肩をすくめた

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