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膝の間に座り込んだユウを後ろから腕を伸ばして抱きすくめる
小柄なユウの身体が自分の腕の中にすっぽりと納まっているのを見るとホッする
なんだかまるで自分とユウの体はもともと一つだったように思える
今はただ、止む負えなく二つに分かれてしまっただけ
合わせればさやが納まるようにぴったりと一致する気がした
「みてぇっ、かわいい」
「うん?あー...そうだね」
子供向けのペンギンのアニメを見ながらユウはうれしそうに指を指してはなんども振り返って笑顔を見せる
こんなつまんないアニメのどこが面白いのか分からないがユウが喜ぶならそれでいい
ユウは俺に会うのをいつも楽しみにしてくれている
会うといつも会いたかったとか大好きとか恥ずかしがることもなく素直にまっすぐ伝えてくる
それがどれだけうれしいか
それの言葉にどれだけ救われているかユウは知らない
その言葉よりもずっとずっと自分の気持ちが大きいことも
会いたくて会いたくて夜も眠れないことも
本当は手放してしまったことを後悔していることも
こんなにも可愛くて何に変えても大事なユウをどうして手元に閉じ込めてはいけないのだろう
誰にも見せないように
誰にも触らせないようにする事はそんなにいけないことなんだろうか
でもそれは俺のワガママだから
ユウにだけ我慢させて俺だけ好き勝手するなんてそんなの全然フェアじゃない
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