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ユウを家に連れ帰った椎名はほとほと困り果てていた どれだけ慰めてもユウは泣き止まないし、何があったのかと聞いたところでうまく説明できない ミツルに聞けば早いのだが、彼にも少し冷静になる時間をあげたくて今だ連絡できずにいた それにしても、二人を会わせるようになってからこんな風に揉めることなど初めてだった ゆっくりと、でも確実に歩み寄ってきたはずなのに.... 一体何があったというのだろう 「ユウくん、元気出して?そんなに泣かないで」 ぐしぐしと涙をしきりに拭っているユウを慰めようと顔を近づけたとき、椎名はあることに気が付いた 「あれ...?」 ユウの首元に小さな赤い痕がついている ミツルの元へ行っていたのだからそれがあっても不思議ではないが、それにしては色が薄い まるで少し前についたものが消えかかっているような... 「ユウくん、これどうしたの?!」 不思議に思った椎名が問いかけるとユウは泣き腫らした顔をさらに歪めて言った 「しらないのっ...ほんとっ....なの」 ”本当なの” ユウのその言葉に椎名はピンと来た この不可思議な痕が原因なのだろう ミツルはこれを見つけてユウを激しく問い詰めたのだ この意味を知る由もないユウはきっと何も答えられ ず、それがさらに彼を怒らせてしまった... 大方こんなところだろう...独占欲の強いミツルならありえないことではない しかしそうなると問題は、これを付けたのは誰かということだ ユウの周りにそんなことをする人間はいないし、椎名が把握できない人間関係があるはずがない けれど何かの拍子や自然につくなんてことは考えられないないし.... ユウの理解力を知っていて、なおかつ冗談でそんなことをする人間なんて.... 「そうか...マナトくんか」 椎名は考えぬいた末に一つの結論を導き出した 疑いたくはないがマナトは時々ユウに悪意を感じる悪戯をすることがある 先日のぬいぐるみの時もそうだった 時々見せるユウに対しての敵対心は椎名も少し気になっていた マナト自身が詮索されるのを嫌っている手前、何も聞けてはいないがなにか心に抱えているものがありそうだ その何かをユウにぶつけている気がするのは気のせいだろうか.... どちらにせよ一度きちんと話したほうが良さそうだ きっとそれはマナトの左手の傷痕に関わることになるだろうけれど、きちんと分かりあうことができたらユウとマナトはきっといい関係が築ける気がするのだ ーーこんなこと涼介にいったらまたバカ野郎!なんて言われちゃうかな 椎名は心の中で笑ってしまった それはなんの根拠も確証もないのだけれどいわゆる 「元、精神科医の勘」だ きっとマナトのユウに対する態度には意味があるはずだ 椎名はそばでユウを慰めながら、頭の中を巡らせていた

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