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言えない気持ち

ミツルと過ごせなかった週末が終わってもユウはどことなく元気がなく、椎名は元気づけようとできるだけ明かるく務めた 「ユウくん、またすぐ会えるよ、元気出して」 「う...?うん...うん」 あの一件がまだ尾を引いていて、何日も笑顔の少なくなってしまったユウに椎名はかけること言葉が見つからなかった ミツルがすべてのユウにとって彼に拒絶されることは何よりも耐えがたいことなのだ そんな時、ミツルが連絡の一つでも入れてくれたらと思う ミツルの何気ない一言でユウは笑顔を取り戻すというのに....それくらいユウはミツルのことしか見ていないのだ 他の誰でもない、ユウを一喜一憂させるのは彼しかいない 椎名が仕事をしている間もユウは大人しくイスに座りながら絵を描いている たまにぼんやりしたと思ったらぬいぐるみを撫でたりして時間をつぶしていた ーーコンコン ノックの音に二人同時に扉に目をやるとそこには小生意気な笑顔のマナトが立っていた 「マナくんっ!」 マナトの姿を見るなりユウは嬉しそうに声を上げた さっきまで落ち込んでいたユウのその反応に椎名もいささか驚いてしまった 椎名が想像しているよりもユウはマナトのことが好きなようだ はたから見ると意地悪されているようにも見えるものも、友達のいないユウにとっては刺激的でそれはそれで楽しんでいたのかもしれない そうなるとなおさらマナトにはユウを傷つける悪戯はやめてもらいたいーー 「マナくん、ちょっといい?」 「なに?」 椎名はマナトの背中にそっと触れるとユウに見えないように死角を作り、そして小声で問いかけた 「マナトくん...ユウくんの事でなにか知っていることない?」 「は?」 「うーん....いろいろあってね....ミツルくんとケンカしちゃったんだよ」 椎名がそれだけ言うとマナトは一瞬嬉しそうな顔を浮かべた 「ま...マジで?」 「うん...それでユウくん、落ち込んでてさぁ....マナトくん、何か知らない?」 それは明らかにこの間のキスマークのことだ マナトは一瞬ほころんだ顔を取り繕うように口元を引き下げて首を横に振った 「しっ...知らないっ!俺が知るわけないじゃんっ!!」 明らかに目を泳がせるマナトに椎名は困ったように笑ってからため息をついた 「....そっか....そうだよね」 うんうんと頷く椎名の元から早く離れたくてマナトは逃げるようにユウのそばに向かう そんなマナトに椎名は一言声をかけた 「マナトくん、ユウくんのこと傷つけないであげてね」 まるで釘を刺すような一言にマナトはギクリと身体を強張らせた バレてる....俺がしたこと、嘘ついてることも けれどまるで怒りもせず、ただ見守る椎名の真意が分からない マナトは内心ドキドキが止まらず、椎名の方を振り向くことができなかった

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