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「みぃくんに...会えるの?」
暗かった表情を一気に変えてユウはマナト迫るように乗り出した
「え...っと、えーっと...うんっ!!会わせてやるから今から行こうぜっ!!」
咄嗟にマナトが閃いたのは"みぃくんに会わせる"というウソ
マナトはミツルに会ったこともなければ、居場所など知る由もない
普通ならすぐに嘘だと分かる事もユウには分からない
"みぃくんに会わせてやる"
こう言えばしっぽ振ってついてくるはずと踏んだマナトはユウを連れ出そうと言葉巧みに誘いだす
「早く行こうぜ」
「で...でも...」
ユウはマナトの言葉に戸惑いを隠せない
だってまだミツルと会うには日があるのだ
カレンダーの×印は7個揃っていない
それなのにマナトは彼に会わせてくれるというのだ
「何迷ってんだよ!ほら、立てよっ!!」
ユウを早く連れ出さないと椎名が戻って来てしまう
焦ったマナトは矢継ぎ早にユウを攻め立てる
「でもっ...せんせぇっ...いないっ」
椎名もいないのにミツルと会うことは許されるのだろうか
勝手に出かけて叱られたりしないだろうか
ユウは1人きりで外に出たことさえないのだ
......それでも"ミツルと会える"と言われればどんな事をしてでもマナトについて行きたい
真逆の気持ちがユウの中で行ったり来たりを繰り返す
未だ決めかねてうなづく事ができないユウにマナトは極め付けの一言を放った
「お前、あいつに会いたくないの!?」
「....っ」
会いたい
会いたくないわけがないのだ
毎日を指折り数えて待つほどに
「...あいっ...たいっ」
絞り出すように吐き出したユウにマナトはニヤリと口角を引き上げた
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