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「どういう事?何があったの...?!」
椎名の質問にミツルはまるで答えない
ただベットの横に座り、愛おしそうにユウの髪を撫でている
椎名は彼の腕を強く掴んで立ち上がらせた
「こっちに来て」
寝ているユウのそばで話をするのは憚られると思い、引きずるように彼を寝室から連れ出した
けれど、ミツルが静かに寝室のドアを閉めた瞬間、今まで温厚だった椎名は彼の胸倉を掴んで壁に押し付けた
「何をやってるんだよ!!君はっ!!」
彼は抵抗することもなく椎名の怒りを受け止めていた
「....」
「なんとか言いなよ!!」
2人の間になにがあったかは分からないが湧き上がる怒りを椎名は抑えることができなかった
どんな理由があったにせよ、ユウがあそこまで虐げられる事に見合う理由など、ありはしない
掴み上げた手が無意識にギリギリと締め上げると彼は咳き込み顔を歪めた
「ゲホッ」
その瞬間、椎名は我に返って掴んでいた手を慌てて離した
「ご...ごめん」
ミツルは咳き込み苦しそうにズルズルと壁を背に座り込んでしまった
椎名は我に返ったものの、抑えられない怒りをどうすればいいのか考えあぐねて額をおさえる
するとうずくまっていた彼がやっと重い口を開いた
「言ったじゃん...」
「え...?」
ミツルの一言に椎名は耳を疑った
「俺、言ったじゃん...先生がいないとダメだって...」
椎名を見上げる彼の目は真っ赤に充血していた
まるで責めるような目つきで唇を噛んでいる
「僕のせいだっていうの?!ユウくんをあんなに傷つけておきながら仕方なかったっていうつもり!?」
「....っ」
「言ったよね!?こんな事はもう終わりにしなきゃダメだよって!君だってもうしたくないって言ったじゃないか!!」
声を荒げて熱くなる身体が怒りに任せて彼に手を上げてしまいそうだった
拳を握る手はわなわな震えて抑えがきかない
これだけ言っても彼から明確な理由など聞こえてこない以上は2人を引き離さざる負えないだろう
「もうユウくんを君のそばには置いておけない!分かっているよね」
彼は椎名のその言葉に身体を強張らせて唇を震わせた
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