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一人オフィスを出たユウは通い慣れた道を歩きだした オフィスを出た通りを曲がってすぐ、2つビルを過ぎた所でポツンと小さな公園が見えてくる 迷いようがない道も1人で外出した事のないユウにとってはまるでひとり旅のようだ キョロキョロしながら慎重に一歩一歩踏み出す足元が緊張に震えている それでもユウの不安をよそにたった5分の冒険はすぐにゴールを迎えた 行き慣れた公園になんの問題もなく到着したユウは成し遂げられた安心からほぅっとため息をつく 「マナくん...いない」 公園内にマナトの姿はなくいつもならお弁当を片手にお昼をとる制服姿の女性達の姿もない 一番乗りで到着したのはどうやらユウのようだった まるで貸切のような公園の中でユウは1人、備え付けのベンチに腰を下ろした 浮いた足をプラプラと揺らしながらもうすぐ現れるだろうマナトの姿を待つ その間ユウは空を見上げながらぼんやりと流れる雲を目で追っていた こうしていれば退屈だなんて思わない 嫌な事も悲しい事もなにも考えずにいられるから こんな時に思うのは1つだけ みぃくんは今何をしているのかな... 毎日がどれだけ楽しくても、ふとした時に思い出すのはミツルの事だ あの雲がどこから来てどこへ行くのかはわからない けれど願わくば彼の元へと流れてくれますように 離れている間に募る想いが少しでも彼に届くといいな 1人になるとついそんな事ばかり考えてしまう ーーすると上ばかり見ていたユウの足元に何が触れた 「ひゃっ!!」 思わず驚いてバタつかせた足の間を瞬時に横切る影が見えた 「う...?」 その何かはベンチの下に身を隠しながらユウを警戒するように息を潜めている 恐る恐るユウはしゃがんで覗き込むとそれは喉を鳴らして声をあげた 「ニャア」 「あっ!!ねこさんっ!!」 隠れていたのが猫だと分かるとユウは地面にべたりと座り込んで声を弾ませた 「ねこっ....ねこさんだぁ!」 ユウは汚れるのも気にせずベンチの下に潜ろうと身体を縮める どうしても猫を触りたくて、一生懸命腕を伸ばした

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