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棚に置かれた商品を隅から隅まで確認する
「えーとっ...あっ!!あった!」
やっとお目当のものが見つかった時、マナトは嬉しさのあまり、飛び跳ねるようだった
マナトの手には新商品のスナック菓子
普段ならオーソドッグスな塩味を選ぶのだが今回発売するのは激辛ハバネロ味なのだ
これはミーハーのマナトとしては買わないわけにはいかない
しかも発売するにあたり、テレビでも紹介していたのを見て、売り切れてないか一日中ヒヤヒヤしていた
けれど本来はそれだけが目的だったはずなのに、いかんせんコンビニというのは誘惑が多い
目移りしては手にとっていつのまにかカゴの中身はいっぱいになっていた
「やべっ!そろそろ行かなきゃ」
マナトは買い物に夢中になって時間が過ぎるのを忘れていた
もうとっくに2人とも待っているに違いない
昼時もあってもうすでに何人かいるレジにマナトは慌てて並ぶ
もうこれで終わりだと思っていたはずなのにマナトは今度はその列のすぐ横にあるスイーツの棚に目を奪われてしまった
「うまそぉ〜!!」
マナトは最後の大罠にまんまとひっかかり、色取り取りのスイーツ達を物色し始めた
中でもマナトの目を引いたのはプリンだった
生クリームのたっぷりのったパフェ風のプリンとフルーツの乗ったプリンア・ラ・モード
どちらも捨てがたいそれを両手で持ってしばし眺めていたマナトはある事を思いついた
ーそういえばユウはプリンが好きなんだよな
それならばユウにも買っていって一口...いや、 半分貰おう!
そうすれば両方食べることができるじゃないか!!
そんな邪まな気持も一緒にカゴの中へと放り込んだ
会計を済ませて意外にずっしりと重いコンビニの袋を下げたマナトは早足で公園へ向かう
「あれ...?」
そこへ着くとすでにベンチは他の人達に取られてしまっていた
持ち寄りの弁当を囲んで楽しそうにしている
辺りを見渡してもユウと椎名の姿はなく、マナトはどうしたのかと首を傾げた
携帯で時間を確認するとあれから20分ほど経っていて
もしかしたら待ちくたびれて2人で先にフードワゴンまで行ってしまったのだろうか...
しばらく待ってみたものの現れない2人にマナトは一旦オフィスに戻ろうと来た道を引き返した
「腹減ったぁ...」
コンビニの袋をぶらぶらと揺らしながら歩いているとようやく見知った姿が向こうから現れた
「マナトくーんっ!!ごめんごめんっ!!遅くなっちゃった!」
手を振りながら小走りに近づく椎名にマナトは一安心した
「先生!!良かった!!腹へったぁあー!!」
「「あれ?」」
2人はお互いの一人きりの姿に顔を見合わせる
「ユウくんは?公園にいなかった?」
「え?俺も今来たばっかりで...でもいなかったよ!」
ものの5分の距離で迷いようもないこの道でユウらしき姿は見当たらなかった
「おかしいな...行き違いかかな?ちょっと戻ってみようか」
「あ...じゃあ、俺もう一回公園見てくるよ。もしかしたらノラ猫でも追いかけてんじゃねぇの?」
はやく昼食にありつきたいマナトは踵を返し走り出した
なにやってんだよ!あいつは!
プリンがぬるくなっちまうだろーがっ!!
きっとユウの事だからフラフラと何かを追いかけて迷子になるなんて事もありえる
例えばノラ猫とか、その辺を飛んでる小鳥とか、空を流れる雲とか、花の周りを舞う蝶々とか
それは後から笑い話になるようにそんな理由だ
マナトはこの時、そんな単純な事にしか思っていなかった
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