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いつまでそうしていたのかミツルはひたすらユウを抱いたまま目が覚めるのを待っていた ふと顔を上げると外はいつの間にか日が昇り始め,明るくなりかけている ーーー朝か ユウが目覚めないままずいぶんと時間が経っていることに気が付くと途端に疲労がどっと押し寄せてきた 「ユウ....」 いい加減起きても良さそうなのにピクリとも動かない どうしてこんなに目が覚めないのだろう このまま目を開けなかったらどうしよう 起きたとしても後遺症などが残ったりしたら..... 考えたくないのに頭の中をよぎるのはそのことばかりで不安で胸が押しつぶされてしまいそうだった 「嫌だよ...怖いよ、ユウ」 ユウを想うと苦しくて、どうしてやることもできない自分が情けなくて、ミツルは思わず弱音を零す 早く起きてくれないかな またその目で俺を見てくれないかな いつもみたいに可愛い笑顔で俺の名前を呼んでほしい そのためならなんでもするから ユウのためならなんだってしてみせるから するとミツルの強く願う気持ちが届いたのか腕の中のユウが微かに反応したように見えた 彼はようやく訪れた兆しに動揺しながら祈るようにユウに呼びかける 「ユウ?!起きてっ......ユウ!!」 すると今まで閉じたままだった瞼がゆっくりと開いていく そこから見える大きな瞳は焦点を失い彷徨うように辺りを見渡している 「ユウ!!俺の事分かる?!」 視線はまるでその声に導かれるように行ったり来たりしながらミツルの前で動きを止めた 色の無い瞳はミツルの姿を捉えると、徐々に輝きを取り戻していくように見えた 「みぃ...くん...?」 小さく自分の名を呼ぶ声にミツルは心底安心したように息をついた 自分の名前を口にしたという事は目の前のものを認識しているという事だ これで最悪の事態は免れたかもしれない 「良かった、本当に良かった」 決して"良い状態"ではないものの、目が覚めたことは何よりも嬉しかった とにかく今は診てもらわないと...そう思ったミツルは急いで医師を呼びに行こうと立ち上がった すると意識もまだ完全に取り戻したわけでもないはずのユウが何かを訴えるように唇を震わせ始める 「ユウ?どうした?どっか痛い?!」 「ぃ...で」 その声はあまりにも弱々しく耳を寄せないと聞こえないほど小さい 「ユウ...?なぁに?」 虚ろな目で動かす口元にミツルが耳を近づけるとそれはようやく聞き取ることができた 「みぃ.....い...ない...で」 ”みぃくん、行かないで” 何度も繰り返しつぶやく言葉がそれだと気がついた時、いつの間にかユウの瞳からは大粒の涙があふれ出していた 「ユウ...」 「みぃ....くんっ....いかないっ...で」 ユウは痛みで動かないはずの腕を必死に動かして何かを掴む仕草を見せる 夢と現実の狭間でユウはもがくように泣きながらミツルに助けを求めていた 「みぃ.....みぃくんっ.....」 「ユウ!!」 ミツルは強くユウを抱きしめると宥めるように何度も背中を摩った 「大丈夫だよ!!もう心配ないよっ!!」 「みぃ...みぃ...くんっ...」 「そばにいるから!1人にしないからっ....」 ユウが味わった恐怖はどれ程のものだったのだろう どれだけ想像しても分かってあげることはできない 何度拭っても溢れる涙を塞きとめる方法は見つからなくてミツルはただユウを抱きしめることしかできなかった

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