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「眠れない?ちゃんと寝ないと治らないよ?」 「みぃくん...」 「大丈夫だよ。ずっとそばにいるから」 ベッドの脇に座り込んでミツルはずっとユウに付き添った 甲斐甲斐しく世話を焼き出来ることはすベて彼がしていた ユウは高熱にうなされながらも何度も彼の名前を呼んでいた まるでやっと覚えた言葉が消えてしまわないようにと身体に刻み込んでいるみたいに 「みぃ...」 「はいはい、なぁに?」 彼は困ったように笑って何度も髪を撫でてくれた もっとたくさん言わないと...忘れたらこまるの 呼べば呼ぶだけ答えてくれる彼に甘えるように繰り返してこれが夢じゃないことを確認した とにかく寝ているだけの自分に彼はたくさんの話を聞かせてくれた 知らなくてもいい、分からなくてもいいからって言いながら 元気になったら外に行こう、イルミネーションっていってすっごくキレイなんだよ? きっとユウも気に入ると思うな あれもしよう、これもしよう、そういいながら最後は必ず「ごめんね、ユウ」と顔を曇らせる その度にユウは包帯のぐるぐる巻きの右手をベッドからゆっくり彼に差し出すのだ 悲しい顔は彼にして欲しくないから あげる...全部あげるの...だってこうすると彼は喜んでくれたから けれど、ミツルは「それはしなくていいの」とユウの手を隠すように布団の中に押し入れる なんで...? あぁ...そうか...そっちの手は爪が全部なくなっちゃったから ダメだなぁ...せっかく許してもらったのに 頭はちっとも良くならない せっかくたくさんお話をしてくれるのにほとんど理解できないなんて 自分が嫌い いい子になりたい もっと好きになってもらいたい ーーもうあんな思いはしたくない ミツルのした事は確実にユウの心に深い影を落としていた もともと低かった自尊心はさらに深い闇に沈み、自分の存在そのものがふわふわと浮ついた形が無いもののように思えてくる もう二度と要らないと言われないように頑張らないと...今度こそ頑張らないと 瞬きのたびに彼が顔を変えてしまうのではないかと怖くて、一挙一動が気になって仕方がない 彼の名前を呼ぶたび、彼が答えてくれるたびにその気持ちが大きくなる気がした けれど彼はそんなユウの不安そうな目を見つけると ユウはそのまんまでいいんだよ もう頑張らなくてもいいんだよと笑う "ユウに悪い所は一つも無いんだよ" 変なの...みぃくんでも間違うことがあるんだね ユウにいい所なんて一つもないよ だからみぃくんだって今も悲しい顔するんでしょ? みぃくんは優しいから許してくれたの 熱に浮かされながらユウはそんなことばかり考えていた

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