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「ねぇ、先生、そろそろユウのことお風呂に入れてもいい?」
熱も下がりケガの具合も良くなったころミツルは椎名に聞いてみた
「そうだね...うん!いいよ、その代わりあんまり長くは入らないでね?」
入浴は思いのほか体力を使うから長湯はさせないようにと条件を付けてそれを許可すると彼は喜んでユウを抱き寄せた
「やった!良かったね!さっぱりしよう」
手を引いてベットから降ろすとユウは誘われるまま素直についていった
脱衣所につくとミツルはユウの服に手をかける
痛みに上がらなくなってしまったユウの腕をゆっくりと袖から脱がしていく
「シャボン玉もやってあげるからね」
あの時は嘘をついて見せてあげなかったから今日はたくさんやってあげないと...
ニッコリ微笑むと意味が分かったようにユウは笑顔を見せた
一糸まとわぬ姿になったユウの身体は真っ白で今にも折れてしまいそうなほど華奢だ
脱衣所の蛍光灯の下で生々しいほどの傷を浮かび上がらせたその身体が急に儚く見えた
ーー俺はこんなに小さなユウにたくさんの無理をさせていたんだな
これからは....本当にこれからはもうしない
ユウが望むように優しい自分になってずっと二人で生きていきたい
ミツルはユウの脱いだ服をたたむとその手を引いてバスルームのドアを開けた
浴室の熱気が流れて二人の顔に当たる
ユウの背中に手を添えて中へ促そうとすると....突然ユウの足が止まった
「ユウ...?」
不審に思ってユウの顔をのぞき込むとビクンと大きく身体を跳ねさせてミツルを見上げた
「どうしたの?」
「ぁ...」
なんでもないと言ったように顔を左右に大きく振ってバスルームの中を見つめている
けれどなぜかそこへ踏み入れる足が出ないように見えた
「どうしたの?足が痛い?」
もしかしたらまだ体が痛んで足が上がらないのかもしれない
それなら抱えてあげないと、とユウの脇に手を入れて持ち上げようとした
するとその手を逃れるように身を捩り崩れるようにその場に座り込んでしまった
「どうしたの?!どっか痛い?」
慌ててうずくまるユウの脇にしゃがみこんで肩を抱くとおかしなことに気が付いた
「ユウ?どうした...?なに震えて....」
そう言いかけたミツルの腕をユウの小さな手が掴んだ
その力は思いのほか強くグッと掴んで爪が食い込む
「みっ....ぃ....はぁっ....ぁぁ...」
「ユウ!?」
一緒になってしゃがみこんだミツルの胸の中にユウが全身で倒れこんでくる
苦しそうに胸を押さえがむしゃらに彼に縋りつく
「ユウッ!?---先生っ!!!!!早く来てっ!!」
倒れこんで真っ青になるユウを抱きながらミツルは大声で椎名の名を叫んでいた
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