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「どうすればいいの?ユウを取らないで...」 胸がドクドクと脈打つ 椎名が「今すぐ連れていく」と言えば彼は従わざる負えない 椎名は腕の中で穏やかに眠るユウの顔とミツルの顔を交互に見てから言った 「君次第だよ、もうユウくんに無理はさせたくない...とにかく今はユウくんが元気になることだけ考えて。君が望むことをさせようと思わないで」 ーーーーそれをしたらどこにも連れていかないって約束してくれる? 言えるはずもない本音を飲み込んで彼は頷いた...頷くしかできなかった 傍にいさせてくれるなら何でもする、して見せる だってそれはユウがずっと俺にしてくれていたことだから 「ん....」 「あ....ごめん、ユウくん...起こしちゃった?」 2人が騒がしかったのが寝たはずのユウが椎名の腕の中で目を覚ましてしまった そういえば...ずっとユウの眠りが浅いことを彼は気になっていた 一緒に寝ていてもすぐに目を覚ましてしまったり、そっと触れたはずなのにひどく驚いた顔を向けたり... そういうのも椎名のいう”ストレス”というものなのだろうか 自分のしでかしたことがここに来てユウの心を蝕みだし、ついには症状を見せ始めた バスルームはユウにとって一番怖かった場所かもしれない 彼には思い当たる節がありすぎた 小さな空間、逃げる場所もなく素肌に直接与えられる痛みは逃れようもない 気を失うことも、死ぬ直前まで追い込んだことも何度もあった それでもシャボン玉を見せて遊ぶうちに何とか慣れてきてやっと気持ちが落ち着いてきた矢先... ーー俺はユウに何をしたんだっけ 嘘をついて無理強いして、目いっぱい殴って、心も身体もボロボロになったユウになんて言ったんだっけ さっさと壊れろよ、バカ犬 許してもらえると思うなよーーーそう言って追い詰めた 椎名の顔を見上げてユウはゴシゴシと目を擦るときょろきょろと見渡して首を傾げた そして目の前の彼に視線を合わせるとホッとしたような顔を向ける 「みぃくん....」 良かった...ここにいた....とまるで言うかのように微笑んで抱き上げてもらいたいと手を伸ばす 「ユウ...」 椎名に言われた言葉がその手を取ることを躊躇させる 触っていいのだろうか...それはユウの不安を少しでも解消するようになるのだろうか... この手は本当に俺を求めているものなのだろうか... 頭の中をグルグルとそんな考えがまわり手を出せずにいると目の前に伸びていた腕がふっと下がって消えていく 「み...みぃく....」 小さく呟いたユウの目は不安に揺れて今にも泣きだしそうに潤みだした どうして抱きしめてくれないの? またなにか怒っているの? また悪いことをユウがしたの? そんな言葉が聞こえてくるように顔をゆがめてじぃっと見つめてくる 「っ...先生っ...ユウに触ってもいい?」 椎名の言葉を待たずにミツルはユウの身体を抱き上げた こんなことで安心するなら何度でもするからそばにいてほしい ユウがいないとダメなのは本当は俺の方なんだーーー ミツルはユウを強く抱きしめて心の中で叫んでいた

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