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寝室の扉が開いたと思ったらユウを抱き抱えた椎名が出てきた 片方の手には毛布を握って、ズルズルと引きずりながらミツルの元までやってくる 「なに?どうしたの?」 ソファで横になっていたミツルは驚いて飛び起きた 「ユウくんが泣いちゃって...」 彼の姿を見た途端、ユウは椎名の腕から飛び降りて彼の胸元にしがみつく 「ユウ、先生と寝ろっていったろ?」 ユウはまるで聞こえないふりをするようにぎゅぅっと彼にしがみ付いてしまう 「寂しくて嫌なんだって、ねぇ?ユウくん」 「だって...」 「だからここで3人で寝ようと思って」 「はっ?!」 椎名はそう言いながらミツルに断りもなく、ソファとガラステーブルを移動させた そこに毛布を敷いて3人が寝れるようにスペースを整える 「ね?ユウくん、これなら寂しくないでしょ?」 「おいでおいで」と椎名が手招きをするとユウはぱぁっと明るくなって駆け寄ってくる 小さな手はしっかりと彼の手をにぎっていた 「3人で寝るの?本当に?」 「僕、夢だったんだよね、親子3人、川の字ってやつ?」 椎名に促されるまま、男同志でユウを挟んで文字通り3人で横になる 本物の親子ではないし、少し気恥ずかしいがなかなかこれも悪くない なぜならさっきまで泣いていたはずのユウがあっという間に笑顔になったからだ 彼に寄り添い、その胸に顔を摺り寄せては上目遣いをしている 時々椎名の方を振り向いてはニコニコして、大好きな二人に囲まれたユウは本当に嬉しそうだった 「ほら、良かった、ユウくん、嬉しそう」 「なんで、男同志で寝なきゃいけないんだろ」 「すいませんね、僕だけお邪魔で...」 軽く冗談交じりに返す椎名に彼の返事はそれに似つかわしくなかった 「邪魔なのは俺だよ、先生」

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