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ーー先生の言葉は偉大だ
こんな俺でもユウのそばにいてもいいと言ってくれる
そして、それが本当に叶いそうな気さえする
「ユウは俺を許してくれるのかな...」
これからユウが椎名と暮らすようになれば、いろんな事を知り覚えていくだろう
それは言葉だけに留まらない
いずれ、全てを分かる、知ってしまう時が必ず来る
自分がどんな風に生きてきたのか
どんな生活をしていたのか
自分が信じていた相手にどんな風に扱われてきたのかを...
それを知った後でも、ユウは俺を選んでくれるのだろうか
まだ好きだと、一緒にいたいと言ってくれるのだろうか
「君の不安は最もだよ、だけど、そう思うならこそ、まず立ち直らないとダメだ」
「....」
俯き、椎名の言葉に答えられないまま、時間だけが過ぎていく
できるのか、できないのか
ミツルの揺れる気持ちがふとした仕草から強く伝わって来る
そんな中、椎名がさっきよりも一層穏やかな声で彼に語りかけた
「もし、1人で抱えきれないなら、半分僕が持ってあげるよ」
椎名の言葉に彼は思わず顔を上げた
「え...?!」
ただただ驚いた彼はぽかんとしながら椎名を見つめる
そんな彼と目を合わせた椎名は少し、照れくさそうに頭をかいた
「1人で頑張れないなら僕も一緒に頑張ってあげるから」
椎名は彼に、"だから一緒に頑張ろう"と提案した
なぜなのだろう...
彼にはなぜ椎名がそこまで言ってくれのか分からない
自分にはすぐに突き放される理由ならたくさんあって、助けてもらえる理由なんてないからだ
「なんで...?なんでそんな風に言ってくれるの?」
自分は騙して、監禁までした相手だというのに何故そうまでして、自分達を見放さず力になってくれようとするのだろう
「先生っ...俺の事、許せないんじゃないの?だからユウを連れて行こうとしてるんじゃないの?!」
言っている意味がわからない!!と彼は椎名の真意を必死に汲み取ろうとした
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