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「うーん...よし、もういいかなぁ」
椎名はユウの身体を触り、傷の状態を調べて返事をする
身体の痣も完全に消えたとはいえないが薄くなって痛みもだいぶマシになったようだった
「手、動かしてみて?そう...握れる?」
「う...?」
「ユウ、ぎゅぅだよ!ぎゅーってして?」
握られた手をどうしたらいいかわからずユウは2人の顔を見比べている
「よし、じゃあ次はバンザーイってしてみて?」
椎名の後ろでミツルが同じように手を上にあげて、ユウはそれを真似するように両手をあげる
「っ...」
「あぁ...いいよ、無理しないで」
ずっと気がかりだったのは握れなくなった小指だった
力任せに折って、放置したせいで不自然に曲がってしまった
今は一応応急処置をしてあるけれど、たぶん元には戻らないだろうと椎名は言った
「後遺症」とでもいうのかユウの身体にはたくさんの傷跡が残ってしまった
「治らないのかな...」
呟くようにポツリと言った声に、意味もわからずニコニコと向けてくれる笑顔を直視できなくて困る
ユウは前に負った火傷のせいで歩く時に少し足を引き摺るようになっていた
それに加えて腕も上がらない、手も握れない...
「みぃくんっ」
ミツルの心配をよそにユウは一生懸命腕を伸ばして注意を引く
「はいはい、抱っこ?」
「みぃくんっすきぃ」
抱き上げると、頬を擦り寄せて嬉しそうに首に手を回してくる
「みぃくん、みぃくん」
「はいはい、なぁに?」
鼻先がつくほどの距離で無邪気な笑顔を向けられると、思わず言ってしまいそうになる
ねぇ...もうすぐお別れなんだよ?
もう一緒に入れなくなるんだよ?
その時どんな顔を浮かべるのか想像するだけで、目の奥がツンとした
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イイネ
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