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すべては滞りなく出来た...と思う ユウの機嫌は指輪の効果も相まって今までで一番良いくらいだ 笑顔で送り出し扉を閉めれば事は終わる そのはずだった.... ただ一つ、自分の過ちを除いてーー ミツルユウ年の頭を撫でて、笑顔で見送りの言葉をかける ユウに何も悟られないように...最後まで笑ったままで 椎名がドアノブに手をかけると、ゆっくりと扉が開いていく 隙間から冷たい風が流れ込んで一気に心の中までも流れ込んでくる 「みぃ...」 ふとユウが何かを言いかけ、ミツルの顔を振り返る 彼はこのまま無事に行くだろうと思った油断と、どうしようもない悲壮感から見つめていた目を逸らし唇を噛みしめた それはほんの一瞬で、気にも留めないほどの小さな仕草 けれどその一瞬だけ、今まで必死に隠してきた真実の一端をその顔に浮かび上がらせてしまった それを見たユウは彼のその一瞬の変化を見逃さなかった 「みぃくんっ!」 突然、大きな声でミツルの名を呼ぶと仰け反るようにして椎名の腕から飛び降りた 「わっ...!!ユウくん!!危ないっ!!」 椎名の止めるのも聞かずそのままの勢いで彼に突進して飛びついた 飛びついて回した腕の力は強くこの小さな体のどこにそんな力があったのかと思うほど締め付けてくる 「ユウ、ダメだよっ」 巻きつく腕を引きはがしながら彼は自分に舌打ちしたくなった せっかく何も気づかないまま送り出せると思ったのに... 何も知られずに別れる事ができると思ったのに... 必死に隠していた気持ちが隠し通せるほどの大きさではないという事を彼自身も気づいていなかった

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