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第8話
「ここが一路のクラス"1-E"ね」
校舎につくと、そのまま秋月の教室まで案内した壬生。
「教室まで案内してくれて、ありがと」
「いえいえ、どういたしまして」
秋月が礼を言うと、壬生は少し照れくさそうに笑った。
「あ、一路。お昼はどうするの?」
「それなんだよなぁ…。出来れば、司と一緒にたべたいんだけど…」
「もちろん!」
昼食に関しては、秋月もどうしようか思いあぐねていたので、壬生と一緒に食べることになり、ホッとした。
「よかった。ここの生徒、ほとんど子どもの頃から一緒だろ?何か、溶け込みにくいんだよなぁ」
3日前に入寮した秋月だったが、なんとなくこの学園の雰囲気に馴染めないでいた。
寮は一般寮であったが、特別棟であったため、他の生徒と接することはなかった。
確かに、最初に壬生に寮内を案内してもらったとき、何人かの生徒とすれ違った。
が、皆、壬生に案内される秋月を見て驚き、そそくさと何処かへ行ってしまったのだった。
そして、今朝の登校。
こんな中で、はたして友人というものができるのだろうかと、秋月は少々不安に思えた。
もう高校生なのだから、ひとりで時間を過ごすことは難しいことではない。
しかし、子どもの頃から友人が多く、いつもワイワイしていた秋月にとって、この疎外感は何とも言えず、嫌なものであった。
「私にも友人がいれば、紹介するのだけど。ほとんどひとりで過ごしてるから…」
そんな秋月を察してか、申し訳なさそうに言う壬生。
「いやいや。こんなアウェイな中で、”司”っていう友人が直ぐに出来ただけでも奇跡だよ」
秋月は、折角出来た友人に気を遣わせてしまったことを反省し、慌てて答えた。
その言葉を聞いた壬生は、さっきまでの顔から一変。嬉しそうに、
「じゃあ、お昼にまた迎えに来るね!」
と言って自分のクラスへ向かった。
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