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第9話
秋月は、教室のドアに貼られていた座席表で自分の席を確認し、中へ入った。
その瞬間、教室内にいた生徒が一斉に秋月の方を見た。
「お、おはよう」
秋月は、その威圧感に驚きつつも、今日からクラスメイトになるのだからと思い、朝の挨拶をした。
しかし、誰一人秋月に挨拶を返す者はいなかった。
ただただ、秋月をジッと凝視するだけ。
そんなクラスメイト達をみて、ますますこの学園に馴染めないなと思った秋月は、とりあえず自分の席についた。
席に着いてからも、声をかけず視線だけをおくるクラスメイト達に秋月は、もう慣れるしかないなと、半ば諦めて、入寮の際にもらった学園の入学案内の冊子を見ることにした。
すると、
「なぁー、アンタ、壬生の坊ちゃまとどういう関係?」
いきなりドカッと秋月の前の席に座ったかと思うと、開口一番に秋月と壬生との関係を聞いてきた、とある生徒。
「…誰」
名前も名乗らず不躾な質問をしてきた生徒に、嫌悪感まる出しで尋ねた秋月。
そんな秋月に臆することもなく、その生徒は不適切な笑みを浮かべ答えた。
「あー俺?俺は”土師 義登”。よろしく”秋月 一路”君」
こうして、秋月は後に悪友となる”土師 義登”と出会ったのであった。
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