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第27話

久我が次に足を止めたのは、別館2階、"セナクル"の入り口。 「……」 無言で秋月の方を向いた久我。 ジッと秋月の目を捉える。 最終確認のためだろう。 本当に"セナクル(ここ)"に入るのか、と。 そんな久我の行動に、秋月は首を縦に振った。 ――コン、コン、コン―― 秋月の意思を確認した久我は、豪華な装飾のある扉をノックした。 「どうぞ」 部屋の中から入室を許可する声。 久我は何も言わずに扉を開けた。 先に入っていった久我に続いて、秋月も足を踏み入れる。 夕方とはいえ、まだ明るい廊下とは対照的な仄暗い部屋。 一般の教室とは異なり、談話室のようにソファーやピアノが置かれている。 室内には11人の生徒。 「義智、案内ありがとう」 「…いえ」 その中でも、周囲とは異なる雰囲気を持つ生徒が、久我に礼を言った。 そして笑みを浮かべ秋月に近づく。 背は土師と同じぐらい高い。顔立ちは、はっきりとしているが、東洋人らしいあっさりとした顔。 笑ってはいるが、親しみやすさは全く感じられない。 この学園(せかい)独特の浮世離れしたオーラを纏っている。壬生や久我が纏っているオーラ。 ただ、彼等と明らかに違うのは、異様な威圧感が付加されていること。 こういう人間の笑顔ほど怖いものはない。 「ようこそ"セナクル"、かな?」 ゆったりと両手を広げた生徒。 「初めまして」 秋月は確信する。 「私は、九条久永(くじょうひさなが)。よろしく、秋月一路君」 この生徒が"皇帝(カエサル)だと。

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