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忍び寄る恐怖

あれから、文汰や白の生活に変化はない。幸せと言う事実しか、文汰と白、そして紡の間にはなかった。 今日も、いつもと変わらない幸せな日々が訪れていた。朝、何時ものように文汰と白はイチャついて、それから紡も交えてイチャついて。呆れた村田が起こしに来るのだ。 そして、不器用ながらも頑張って作ってくれた白の朝ごはんを食べるのだ。今日は、少し焦げた卵焼きと、これまた少し焦げた焼き魚と、味の濃い味噌汁。そして、上手に炊けた白米。 「んー。明日こそは、焦がさないように頑張る」 「頑張れ。少し焦げるまで成長したんだ。白なら、焦がさないように作れるさ」 「頑張るから、お前も応援してね、紡」 村田の手から一生懸命ミルクを飲む紡の頬を、白は指先でプニッと押した。飲んでいる途中だったし紡が怒るかも!と思ったが、気に入ったようで。もっとと言うように、キラキラした瞳を白に向けた。 「何だ、紡。もっとプニプニしてほしいのか?」 「白様。後でいくらでもプニプニするお時間はありますので、食事をなさってください。文汰様が、紡様に嫉妬しそうな勢いですよ」 村田の言うことが本当かどうか知るために、白は文汰の方をチラリと見てみた。そしたら、ムスッとした表情で文汰がこっちを見ていたから、笑ってしまった。 「文汰っ!子供にまで嫉妬ってっ」 「うるさい。白、俺はもっとお前とイチャイチャしたいんだ」 「イチャイチャって。ただご飯を一緒に食べるだけじゃん」 「仕事が忙しい俺にとっては、それだけでもイチャイチャに分類されるんだ」 文汰がそう真顔で言うものだから、白はお腹を抱えて大笑い。村田も笑いを堪えきれなかったようで、顔をそらしてブフッと笑っていた。 いつもと変わらない、朝ごはんの時の風景。 「今日もお前のパパは、お前に嫉妬してたぞ。何回目かな、25回目?ぐらいかな。でも、お前のことが嫌いな訳じゃないからな」 分かってると言ったかのように、紡が笑い声をあげた。 仕事に出るギリギリまで白に文汰はくっついていたので、本当に紡に嫉妬していたらしい。それを思い出して、白はクスクスと笑っていた。 「よっし!今日も俺、掃除とか頑張るから紡は大人しくしててな」 まだまだ白と遊びたそうにしている紡をベビーベッドに寝かせた時だ。来客を知らせるチャイムが鳴った。 「?こんな朝早くに誰だろ」 不思議に思いながらも、白は紡をもう一度抱っこして玄関に向かった。いつも文汰に言われるから、誰が来たかを確認してからドアを開けるのだが今日はそれをしなかった。 ガチャリ。 ドアを開けたその先に立っていたのは。 「ごきげんよう、薄汚い屑下層の白さん」 あの時、勝手に家に上がり込んだ綾瀬家の女性だった。

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