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第五夜

「紫紺くん……、紫紺くん?」 「ああ、来てくれたんですね。要さん、こちらですよ。早く来てください」 居なかったらどうしよう、幻だったらどうしようと思いながら再び訪れた温室で紫紺の声を聞き、安達は胸を撫で下ろした。 温室には電灯などは皆無のようだが、夏の星座がくっきりと見えるほど夜空は澄んでいて、月明かりも天井から優しく差し込んでおり視界はそれほど悪くない。 『こっち、こっちです』と呼ぶ紫紺の声を頼りに、安達は足を進めた。 かくして、紫紺はそこにいた。 一糸纏わぬ姿で、空から差し込む月明かりを全身に浴びている彼が、そこにいたーーー。 現実離れしたその美しい姿に、安達はその場に立ち尽くし、釘付けになった。 「どうです?夜光蝶は。綺麗でしょう……?」 月明かりを浴び、キラキラキラと光る何匹もの夜光蝶が紫紺の周囲で舞っている。 鱗粉を振りまきながら、月明かりを浴びて動く蝶々の翅はすごく幻想的で、この世の物とは思えないほど綺麗だが………一番綺麗なのは紫紺自身だ。 紫紺の切れ長の瞳がうっとりと安達を見つめ、無言で誘惑してくる。 もはや、夜光蝶など、安達の眼中にない。 「紫紺…くん……、紫紺くんーーー」 ふらふらと、安達は紫紺に引き寄せられ、気がついた時には紫紺をその場に押し倒していた。 月明かりの下で微笑む紫紺は美しく、妖しい色香を放っている。 安達はおもむろに舌を這わせた。 ぺろりと舐めた首に、暑さでうっすらと浮かんでいた彼の汗は、ひどく甘い味がした。 「紫紺くん……ああ、紫紺くん、……」 「ふふふ、いいんですよ、要さん。我慢しないでください。貴方のしたいように、私を存分に愛でてください」 貴方の好きにしていいんですよーーー。 抱き寄せられ、耳元に注がれた年下の美しい青年の一言が、あっさりと安達の理性を吹き飛ばした。 不安も戸惑いも、一切合切消し去る。 安達は慌ただしくベルトを緩め、ズボンを下着ごと脱ぎ捨て、彼のほっそりとした脚を掴み上げて左右に大きく開かせた。 何もかも露わにされたそこは月明かりを受けて、紫紺の形のいい屹立だけでなく、その奥に息づく秘部までも照らし出しす。 紫紺の秘部からはすでに柔らかく解れ、とろとろと美味しそうな蜜を滴らせていた。 「貴方のために準備しておきました。すぐに入りますよ……」 さぁ……挿れてくださいーーー。 甘ったるい言葉だけでなく、紫紺の蕾が蜜を垂らしながらヒクンヒクンッと安達を誘う。 (紫紺くんが……僕を、欲しがってくれてる。これが夢でもいい。僕も紫紺くんが、欲しい) ぐっぐっぐぐぐぐぅ……と、完全に勃ち上がったそれを、安達は迷うことなく紫紺に突き立てた。 「あ、あっひっ…………んぁあぁあぁーーーっ!!」 ビクンッと大きく跳ね上がる痩身を無理やり押さえ込み、安達は欲望に突き動かされるまま、腰を穿った。 紫紺の中は、熱く、しっとしと潤い、心地よさが半端ない。 安達にとって初めて知る、悦楽の味だ。 (気持ちいい……気持ちいい、なんだこれ、こんなの僕は知らないっ!) 「あっあっ……あぁんっ、す、すごいっ……要さんのが……、ぁあ、私の一番奥に、あ、当たって……ーーーっ、ふぁあっっ!!」 安達にほっそりとした体を大きく揺さぶられている紫紺は甘く掠れた声で歓喜の声を上げ続けた。 切れ長の瞳からボロボロと生理的な涙を流しながらも、自ら腰を振っている。 紫紺をもっと泣かせてみたくなり、安達はずぼずぼ……と、激しく屹立を抜き差しする。 喘ぎながら身を震わせ、恍惚と乱れる紫紺の姿に、安達は身も心も満たされていくのを実感した。 膨張した屹立は、もうすぐ弾ける。 流石に中で出すのはまずいかもしれないと、ほんの僅かに働いていた理性に従い、イク寸前、安達は引き抜こうとしたのだがーー 「……だめです、抜かないで!欲しいんです、要さんが!!だから……出してください、私の中に…………っ!!」 そう言われれば、抜くわけにはいかない。 もとより、本音を言えば中に出したかったのだ。 美しい紫紺を自分の精で汚すのは気がひけるが、それ以上に、この麗人を汚したくてたまらない欲求に、安達の思考は容易く染まる。 (紫紺くんを僕のものに、僕のものにするんだーーー) 「紫紺くん……イクよ、君の中に出すよ……くぅっ、っーーー!!」 堪える間も無く、紫紺の肉筒に砲身を締め上げられ、安達はあっさりと達した。 「ああ…かなめ、さん。熱い…、熱くて…気持ちいぃ…です…」 「うん……僕も、僕も気持ちいいよ…」 釣られて紫紺も達し、その余韻に激しく収斂する媚肉を味わいながら、安達はキスをした。 最初とは違い、今度は自分から。 舌で紫紺の歯列を舐め、溢れ出る唾液を流し込む。こくこくと、従順に安達の唾液を飲み込む紫紺は、壮絶に色っぽく、淫らだ。 (この美しい青年を僕だけのものにしたい) 男として、愛する人に求められる。 その喜びはなんて甘美なんだろう。 カメラで美しいものを撮っている時でさえ、これほどの高揚感を感じた事はない。 もう死んでもいいと思えるほど、幸せを感じる。 安達は男としての幸福に酔いしれながら繋がった腰を、再びゆっくりと揺らした。

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