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第7話

センパイは俺のむっとし様子も気にせず近寄って、エクステの束髪に触れてきた。 「似合ってるな」 早く帰れよ、変なこと言い出す前に。 そう思ったのに、手を伸ばして俺の頭を撫でた。夏生がぐしゃぐしゃにした髪の表面をゆっくりと整えてゆく。見つめられて、ねっとりとした視線に頬が熱くなる。夏生にバレないように俯いて手を押しのけた。 「急に来て驚かせた?また学校でな」 やっと帰ってくれると思って顔を上げたら、センパイは真っ直ぐに夏生を睨みつけていた。 「じゃ、俺は帰ります。山下さんでしたっけ……さようなら」 視線を残しながら部屋を出て行く背中に夏生が声を掛けた。 「遠藤くんだっけ?俺たち着替えるんで、扉閉めてくれる?」 夏生の言葉に一瞬振り返って、センパイは静かに出ていった。 何だよ、あれ。 扉が閉まるのを見て気が抜けた瞬間、後ろから強く抱きしめられていた。 首筋に当たる熱い息、身体に巻き付いた筋肉質な腕が、夏生だった。大きな体が俺を包み込んでいる。 「祥爾……俺」 苦しそうな声に熱がこもっていた。鼻と唇が首筋に当たりぞくぞくして、身体の奥に甘いものが広がった。湧き上がる自分の中の欲望と、間近の夏生の匂いに気持ちが止まらなくなる。 肩を掴む手に手を重ねて指を絡ませると、夏生もぐっと握り返してきた。気持ちが指先から流れ込んでくる。俺を欲しがってるって気がした。 俺も夏生が欲しい。 繋いでる手を引き寄せて掌の隅々まで何度も唇を押しあてていると、後ろで夏生の息遣いが変わってきた。 指の間を舐めると、大きく息をのむ音がしてもう一方の腕に力が入り、耳元に何度もキスされた。 その感触に甘いため息を漏らすと、夏生の歯がそっと耳たぶを噛んだ。身体が痺れて力が抜けてゆく。 口の中に入り込んできた夏生の人差し指を吸い上げ、衣装越しにもはっきりわかるくらい硬くなったソレが背中に押し当てられるのを感じていた。 「夏生」 「……祥爾」 名前を呼びあっただけで熱い気持ちがこぼれだす。

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