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は
「誉、さっきから顔芸でもやってんのか?」
「ひぃっ!」
「お…おまえ起きてたのかよ! つーか俺に何したんだ! なんでこうなってんのか説明しろ!」
「……なんもしてない。あの後、寝落ちして誉をここまで運んだんだからな。おまけに家に着いた途端リバースするし、逆に感謝して欲しいけど」
何たる失態!!
「それはどうも! クソ~~頭痛てぇ……」
キスしただろうとか怖くて聞けねぇ……
「覚えてないのか?」
「え?」
「昨日のこと……」
俺はその問に応えず、ベッドから起き上がった。
「俺の服は?」
「洗濯したもう乾いてると思う。なぁ、誉…昨日俺が言ったことは?」
「……覚えてない」
「なぁ……」
「何……んっ…んん?!」
由紀路が俺の後頭部を掴み唇を重ねてくる。俺は由紀路を押し退け、キスされた唇を手で擦った。
「おまえいい加減にしろ! 何やってんだよ! 俺だぞ! 俺!」
「そんなん見れは分かる。 勇気振り絞って告ったのに覚えてないのか?」
「いやいや! 何とち狂ったこと言ってんだ! 俺は男でおまえも男! なっ!」
「俺は至って正常だ」
後ろから由紀路が俺を抱き締める。由紀路の素肌から伝わる熱と鼓動の音……なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「はっ離せ! なんだよおまえ! 無愛想でイケメンオタクのくせに!」
「酷いな。って俺のことイケメンだと思ってんだ…誉は面食いだもんな。姉貴美人だし、大学で美人だと噂の深山さんとかおまえのタイプそうだもんな」
「うっっ」
否めないから腹立つ!
「誉……もう、逃がさないから覚悟しとけ」
俺の耳許で由紀路が囁いた。なんだか嫌な予感がするのは俺だけなのかつーか俺にイケメン全開で微笑むな!!
「離せ! 由紀路~~!」
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