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「食った!食った!」 「誉、これ今日のバイト代だ」 「マジで?! おまえの事だからこってり騙されたのかと思った」 「いらないのか?」 「いるに決まってるだろ! わーいこれで新作ゲーム買って夏休み中やりまくってやる!」 由紀路がこちらじっと見ていた。読み取れない表情が黒縁眼鏡で余計に分かり辛い。 「なっなんだよ……」 「誉はいつまでも子供だなって」 「どういう意味だ!」 「……だから姉貴に子供扱いされるんだ」 「うるせぇな! 陽茉里さんはそんなんじゃ……憧れのつーか俺の中のアイドルつーか……」 由紀路がいきなり俺の頬を触った。その手が夏なのに冷たいはさっき、食器を洗っていたせいか? 由紀路の顔が近付いてくる。このままだとまたキスされる。 抵抗しねぇと…… 「姉貴と付き合ってキスしてSexしたいとか思わないってこと?」 耳許に由紀路の息がかかる。どうしてこんなに動揺すんのかそんな自分が恥ずかしくて由紀路を突き飛ばした。 「イケメンで何でも出来てそれが当たり前のおまえなんかに分かるかよ!」 「おまえだって俺を通して姉貴ばっか見て俺の気持ちなんて気付きもしなかった! 俺がどんなに思っても「無理なんだ」って何度も諦めてその気持ち今だったら分かるだろう!」 「……分からねぇよ!」 俺は逃げるように由紀路の家を出だ。あんなに感情を出した由紀路を見たの初めてだ。 由紀路が俺を好き? あいつそんなの今まで出さなかったのになんで! 今更そんなの考えられるかって!

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