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第37話 トロ甘セックス
俺の好きなモノを知りたいと言う時にはにかんだりして、嬉しいことがあると子どもみたいに顔を輝かせたりして、でも、次の瞬間、じっと見つめる時は男の顔をした。見惚れる。そして、胸のところ、気持ちの辺りをぎゅっと鷲掴みにされる。
「ん、……んっ」
「ここは、好き?」
「も、いいって、充分柔らかい、だろっ……ン」
「ここは? ダメ、大事にしたいいって言ったでしょ」
けど、たまらないんだ。ずっと焦らされてる身体は熱くてたまらない。
「ああっ、ン」
「それに、今日は貴方の好きなもの全部知りたい」
背中、背骨に沿ってキスをされながら、中を指で探られ、腰がピクンと跳ねる。もうほぐされてるのに、まだあれがもらえなくて、じれったい。くちゅくちゅ聞こえる音にすら感じてる。
「は、ぁっ……ン、好き」
何? なんで、そんな、今日は、ずっと、俺の好きなモノを知りたがってんの。
車が好きだからと、病院で待っている間、何か俺の喜びそうな場所はないかなんて探して、ドライブして、ランチはその美術館の近くで済ませ、散歩して、俺が魚好きだからって、寿司屋なんて連れてって。
すでに甘やかされてる俺が呆れるほどに甘いデートコース。
でも、悪いな。どれも一番じゃないんだ。
「誉さん、ここも、好き?」
「ぁ、ン、好きっ、そこ、ぁ、ダメっ」
車も好きだし、寿司も好きだけど、ドライブも真紀となら楽しくて好きだったけど。
「ぁ、も、真紀っ」
昨日から、ずっとおあずけされてる好きなものがある。
「真紀……」
それが今は欲しくて欲しくて仕方ない。
早く、腹んとこが切なくてたまらないから、くれよ。
「真紀、も、挿れて」
「……」
昨日の手、すごく気持ち良かった。キスしながらイくのは甘くて、この大きな手に可愛がられながら、最高の心地だったけど。でも、ここにも欲しいんだ。
「ここに、真紀の」
好きな男のペニス欲しさに、四つん這いになっていた俺は顔をベッドに埋める格好になって、尻を左手で割り開いた。右手は頭上にある枕を掴むように伸ばして、まだ力めば少し痛いから、触らないように。指で栓をされ、もどかしく火照る奥を貫かれたくて、痛くない手を使って、羞恥心も捨てて誘ったのに。
「……ここは? 好き?」
「あ、やっ、待て、真紀っ、やっ……っんんん」
真紀がくれたのは舌。
「やだっ、バカっ、止めろって、そんなとこ」
自分で拡げて誘った孔に柔らかくて濡れた感触がして慌てて手を伸ばした。そんなとこ、真紀は舐めちゃダメだろって、急いで阻止しようとしたのに、手を繋ぐように捕まえられた。
「あ、あ、あっ、真紀っ、やめっ」
浅い、孔の浅いところを舐められる僅かな刺激だけなのに。
「ん、ぁっ、ぁ、やぁっぁっ」
真紀の、あの舌がそこを舐めてることにひどく興奮した。
「あ、あぁっ、真、ぁ、あああああ」
舌に、イかされた。
「……ぁ、ン」
「誉さん」
「あ、ン……」
「今日、すごく嬉しかった」
「ぁ、真紀……今、イっ……た」
背骨のところに歯を立てられて、ゾクゾクってきわどい快感が駆け抜ける。真紀にされるっていう行為に昇りつめた快感。
「車のことを楽しそうに話す貴方がすごく可愛かった」
「あ、待っ……」
まだ、イってる。中がきゅんきゅん切なげに悦んでる。だから、今、それを、ずっと欲しかった真紀のペニスを与えられたら。
「食事をする時も楽しそうで、ドライブがあんなに楽しいなんて知らなかったんです。ただ運転するだけのものなのにって。でも、もう少し一緒に車の中にいたかったくらい、楽しい時間だった」
「……ぁ、ン」
四つん這いで、まだヒクつく尻にキスをされただけで、甘い声を上げる。そのまま、そっと手で支えられながら、仰向けにされて頬が熱くなった。イったばかりの身体が丸見えで。
「誉さん、笑うととても可愛いんです」
「知らな……」
「その可愛い人が、セックスの時にとてもやらしい顔をするのが、すごく……」
「あっ、待」
膝を割り開かれるだけで、もう、またクル。
「見たくて、仕方なかった」
「あ、ああああああっ!」
トロトロにほぐされて、内側の感度をここまで敏感にさせられてたら、それだけで、おかしくなりそう。
もうおかしくなってる。
「あ、ン、やだっ……こんなっ」
挿入された途端、ペニスの先端から弾くように出たのは透明な体液。
「ん、ぁ、奥っ、好き、これっ」
欲しかった熱さを、欲しかった場所にもらえて、びしょ濡れの身体が貫かれる衝撃にくねってもだえる。
奥に突き刺さったペニスに切なげにしがみついて、気持ち良さそうに、中がしゃぶってる。真紀の、ことを。
「誉、さんっ」
「ぁ、あ……ン、ぁン」
「車をいじってる時はすごくカッコいいのに」
奥、気持ちイイ。入り口の浅いとこ、そこも好き。さっき舌で濡らされたその辺りの感度もすごい。
「こういう時の貴方は、やらしくて」
「あぁぁっン、ぁ、イっちゃいそっ、なる、激しっ、いっ」
「たまらない、です」
ずんずんと奥を、柔らかくて濡れた内側を、全部を真紀のペニスで愛撫されて、自分の左手の甲を噛みながら震えた。
「好き、です」
「ぁ、ンっ」
「誉さん」
乳首まで食まれて、その頭をぎゅっと抱えた込みながら、孔を締めてペニスも抱き締める、
「な、ぁっ、真紀」
車をいじってる時の俺が真紀とのセックスの時に乱れると興奮する?
「ん、ぁ、好き、俺もっ」
俺も同じだ。
「あ、ぁっ、イくっ、気持ちイイの、ぁ、く、ぁっ!」
俺も、あの清潔感溢れる背中、白いシャツがよく似合うこの背中に。
「あ、あっ、ぁ、も、真紀、真紀っ」
「っ」
爪を立てて、ひっかかき傷をつけてしまいたいって、今日一日思ってたよ。
「大、好き」
「っ、誉、さんっ」
「真紀が、一番、好き」
しがみつきながら、今日一日俺の好きなモノを知りたがっていた恋人に、とても大好きなものを耳元でこっそりと教えてあげた。
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