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第44話 とにかく甘い
熱くて、たまらない。
「……誉」
ここ、食事の前にたんまりほぐされてトロトロになったここが、食事中ずっときゅんきゅんしてた。
だから、ローションいらない。もうさっき散々真紀の指に塗り込められて、切なげに濡れてるから、もう、いらない。
次は真紀が俺の中で濡れる番だ。
「ん、真紀」
「口の中、熱くなってる」
静かな個室、ふたりとも黙ると川の水の音が聞こえてくる。敬語がないだけで、真面目は真面目なのにな。夕食の時間があるからって、抱いてとねだっても我慢する真紀に、そのくせ外でセックスの準備をする真紀の指に、すごく興奮した。
姿勢がいいからかな。真紀の浴衣姿はどこも乱れず肌蹴ず、決まってるのに、見つめるのが難しかった。
「真紀、ン……んんっ」
さっき、一度、俺の手の中でイったはずなのにそんなこと忘れたみたいに、硬くそそり立ったそれに舌を這わせる。切っ先にキスをして、そのまま唇で咥えて、舌を添えながらできるだけ喉のところで締め付けた。
「あっ、誉っ」
気持ち良さそう。指で何度も俺の髪を撫でながら切なげな声が名前を呼ぶ。
「誉っ」
目が合うだけで、熱が上昇する。欲が膨らんで、膨らんだぶんだけ真紀のを舌でやらしく舐めたくなる。
「ン……我慢、した……真紀」
口で真紀のペニスを濡らし終えた頃には、身体の奥をきゅんとさせて。
「だから、早く、ちょうだい。真紀の」
ずっと待ってた、一番のごちそうを前に、喉が鳴る。露天風呂の続きみたいに、脚を大胆に広げて、ヒクつく孔が見えるように。
創作和食どれも美味くて酒も美味くて最高だった。夕食、すごかったのに、堪能する暇はなかった。
食べたかったのは、これ。
しゃぶりつきたかったのは、浴衣姿の真紀の身体。
「このまま、ここに、欲しい」
欲しかったのは、真紀の、熱さ。生々しい形。
「誉」
「あっ」
目の前で食事をする真紀に見惚れながら、そればっかり考えていた。ビールを飲んでいる真紀の喉仏が上下するのを見て、火照りが増すくらい。
「ぁ、あぁっ…………っ!」
「っ」
だから、貫かれただけで、イける。
「あぁっ……ン、ぁ、ン、あっ、イってるっ、ぁ、やめ、な、でっ……真紀、ぁ、そこ、いっぱい突いてっ」
白濁が飛び散った身体が休むことなく揺らされる。浴衣が一瞬で乱れるくらいに激しくて、荒々しくて、苦しいくらいのセックス。これでいっぱいになりたくて焦がれてた。
真紀でいっぱいになりたかった。
「誉」
「ン、んっ、すご、真紀っ」
拡げた脚の間を無慈悲なくらいに真紀の腰が突いてくる。奥まで埋め尽くされると、ゾクゾクって快感が背中を駆け抜けて、弓なりにしなる。
「あぁぁっ」
ズルズルと引きずり抜かれたら切なさが疼いて、真紀欲しさに内側がうねるんだ。やらしい孔の口を窄めて、抜かないでと締めて捕まえる。
「ン、んんっ真紀、ぁ、ン、真紀」
「誉がさっき、足、触ったでしょ?」
「ぁ、ん」
やだ、なんだよ、これ。ずちゅぐちゅと充分ほぐされて濡れた内側が突かれる度に卑猥な蜜音を立てて、荒く乱れた真紀の呼吸に煽られながら、そんな掠れた声で話かけたりしないで。
「あったかい? って、誉が」
「あぁぁっン」
グンと深く一突きされて声が上がった。
「貴方の中って、すごくあったかいんだ」
「あ、ぁ、そこゴリゴリして、前立腺、ン、ぁ」
「あったかくて」
「ぁ、あぁっ、はぁっン、んんん」
今も? 俺の中、真紀のペニスが気持ち良くなれるくらいにあったかく包み込んでる?
「誉の中にいるの、気持ちイイ」
「あぁぁぁっ」
根元まで突き入れられた。
「軽くイった? やらしい。エロい」
「ンんんん」
あの四角ばった敬語で話す真紀に、エロい、なんて無造作に言われただけで、イっちゃいそうになるなんて、そんなの知らない。こんなのなったことない。
「真紀の、ダメ、なんだ」
「ダメ?」
「あン、ン……ダメ、こんなのなったことない、っン、そこ、好きっ」
真紀のが中にあるって思うだけで、スイッチが入るようになった。
「ぁ、あっ、ン、真紀、のせい、で、変」
「俺? なんで?」
「ふぁっ……ぁ、あ」
耳元で囁かれただけで、クラクラする。
「こんな、に、じゃなかった」
「……」
「こんな、トコロテン、も、潮だって、ぁ、ン」
汗がすごかった。真紀のこめかみから伝い落ちそうな汗を、もう俺の下でぐちゃぐちゃになった浴衣の裾を引っ張って拭ってあげる。そして、俺を見つめて抱き締める真紀にキスをした。
「お前が、した、んだ」
「……」
「俺が、エロいのは、真紀の、せいっ」
本当なんだから。
「あ、あぁっン、イくっ、真紀っ」
「っ、誉」
「あン……あ、んっ……ン、ん」
お前のせい、なんだからな。
「貴方はどうしてそう」
「あ、もっと、もっとして、真紀」
「ホント……歯止めきかなくなる、のにっ」
何度もイっちゃうエロい身体になったのも、やらしいのも、全部。
「も、おあずけ、なしだろっ」
手を伸ばして引き寄せた。背中に腕を回して自分からも真紀のペニスにしゃぶりつく。
「だから、止めないで、ぁ……ン」
「誉さん」
「俺の中、真紀でいっぱいに、し、ンんんんんんんっ」
貪るようにキスしながら、最後、激しく数回揺さ振られたかと思ったら、深く強く、身体を挿し貫かれる。
「あっ……ン、真紀の、ぁ、熱いっ、ぁ、ああああああ」
その内側に注がれる快感に達しながら、俺も射精した。
「すげ……星こんななんだ」
「本当だ。すげぇ……な」
「!」
驚きと同時に真紀の膝から落っこちるかと思った。その拍子に水面もバタついて、ぴしゃんと音を立ててる。
「び、びっくりした」
「誉?」
「真紀って、すげぇとか、言うんだ」
「んなっ! 俺だって、言うよ」
「そ、そうなんだ」
クスクス笑う声が優しく夜空に響く。さっき、夕方ここで淫らにほぐされた身体はもう力なんてちっとも入らないくらいに柔らかくなってしまった。腰に力が入らなくて、真紀に抱っこされながらの入浴だなんて。
「俺も、びっくりした」
「真紀?」
「その、誉が、俺とする時は、今まで以上に、エロ、いとか」
「……」
「元々エロいのに」
「は? エロくないだろ! お前、どこに目が……付いて」
はぁと重たい溜め息とのぼせたみたいに真っ赤な顔。のぼせただけかもしれないし、そうじゃなくて、照れただけかもしれない。
「真紀、硬く、なってる」
「仕方ないでしょ。エロい恋人を膝に抱えて丸裸で入浴なんて」
なぁ、日本語少しおかしくないか? 丸裸で入浴って、当たり前だろ。
「反応するに、決まってる」
「……」
背中から抱き締められるような格好だったけれど、体勢を入れ替えて、向かい合わせになるとつられて揺れたお湯が、柔らかく音を立てる。真紀の手を引いて、その湯の中に連れ込んで触らせた。
「! ほ、誉」
「反応するに決まってる」
「……」
「恋人の膝の上に抱えられてたら」
跨って、そそり立ったペニスを湯の中でさっきまで散々暴れていたペニスに押しつける。
「する? もう一回……ン、ぁん……真紀」
「やっぱりエロい」
「あ、あ、あぁ」
「貴方は、やっぱり、すげぇ……エロいよ」
「ぁああああああっ」
真紀が言うだけで乱暴な言葉でさえ愛撫みたいに感じる。甘い悲鳴を上げながら、身体を抉じ開ける強引なカリ首に引っ掛かれただけで、また、俺は、イっていた。
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