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第59話 感動の上をいく?

 真紀の指は綺麗に整ってるのに、俺の中ではすごくワガママなんだ。 「あぁっ……ン、真紀っ」  そのことにすごく興奮する。 「あっ、ぁっ……ン、そこ、ン」  内側が気持ち良さそうに中指を締め付ける。ほぐすための指先だって気持ちイイ。真紀の指に簡単にイかされそうで、でも、イくのなら、こっちがいい。 「っ、誉さん」 「ン、んっ、真紀っ」  こんなに中が欲しがってるのに、真紀のだって、ほら、こんなに、すごい熱い。 「……真紀、しよ? 早く、これ挿れて、これ、欲し」  甘えるネコのキスに真紀が傷痕を皺くちゃにして怒った顔をした。けど、怒ってるわけじゃない。困ってる? お願いだから、これで抉じ開けて。奥まで来て。どこもかしこも真紀のだから、お前の好きにして。 「セックス、しよ?」  真紀のスラックスの前を広げて、シャツを引っ張り出す。下着を指に引っ掛けてズリ下げたら、それがガチガチになって熱を溜め込んでた。  好きにして。これで、俺のこと。  ぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃにしてよ。 「抱いて……」  こんなことを甘い声で言ったところで俺なんて……そう思って苦笑いを零すのは止めた。 「真紀、ン、欲しいよ」  可愛こぶりっこなんてしたって、そう諦めるのはもう、しない。 「真紀……ぃ」  もう期限切れとか気にしない。  もう止めたんだ。繕わない。泣き喚いて、叫んででも、かっこ悪くても、それでも、俺は真紀が欲しい。 「真……」 「今日は、セーブ、できそうにないんです」 「……」 「貴方のこと、壊しそうだ……」  震えてしまうほど、その瞳に欲情する。 「壊れないよ。だって、俺、そこら辺で人気のネコよりずっと頑丈なんだぜ? そそられないくらいしっかりした身体してるんだから、ほら……」  言いながら、半裸で乱れた作業着を足元に落っことした。 「ホント……煽らないで」 「ぁっ……」  ネクタイを緩めた手には俺の吐き出したのがついてて、ネクタイもシャツも汚れてしまった。掻き毟るように脱ぐとジャケットと一緒にそれを、廊下にひらりと落とす。 「誉さん」 「ぁ、んっ」  壊れないってば。頑丈だっつうの。車いじりが好きな成人男子相手に壊すかもとか、シャツをシーツ代わりにするとか、いらないのに。 「苦しかったら、言って……」 「ぁ、あっ、っ…………っ!」  真紀に愛されてる感がすごくて、それだけでのぼせる。 「っ、狭い」 「ン、あっ、はぁっ……ン、ぁ」  貫かれただけ。 「トコロテン」 「ン、んんっ、だって、真紀の形になるの、好きっ、ぁ、やっ、中っ」  ズンと奥を抉じ開けられる。 「ゴム、しなかったんです」 「ぁ、あンっ……ン、気持ちイイ、ン、そこ、もっとして」 「貴方の中で、イかせて」  もっと好き勝手していいよ。俺の中、真紀に強引に占領されるの好きなんだ。 「あっ、ぁっ……ン、また、イっちゃう」  ズンズンと奥を突かれながら、廊下で半裸の真紀の腰に脚を絡みつかせ、甘く喘ぐ。 「いいよ。イくとこ見せて? 俺ので、イくとこ」 「ン、んんんっイくっ、イくっ……奥、ン、来てっ」  廊下の硬さすら気持ちイイなんて。下に敷いてくれたシャツをぎゅっと手で鷲掴みにしたけれど、それだけじゃ激しく腰を突き立てられる度にずり上がっちゃうから。これじゃ、真紀の切っ先に奥を貫いてもらえないから、その背中にしがみ付こうとした。しがみ付いてしまいたいけれど。手が――。 「爪立てて」 「あ、ダメ、真紀っ」  戸惑った手のことを真紀が気がついてしまう。  爪が汚いから、化膿するかもしれない。なのに。 「あ、ああああっン。真紀、待っ」 「いいよ。腫れて」 「何バカなこと、ン、んんん」 「貴方がくれるもの、全部、悦ぶよ」  爪痕が化膿するなんてさせたくないのに。けど、それを真紀にされたら、真紀の噛み痕が赤くヒリヒリとしつこく疼いたら、ちょっと……嬉しいなぁ、なんて思うくらい、バカみたいに。 「ン、真紀っ」 「?」 「好き、だよ」  ホント、すごく好き。 「あ、あああああっ」  わざと奥を激しく攻め立てながら、背中を丸めて乳首を吸われた。気持ち良くてしがみ付きたくなる。もっとめちゃくちゃにして欲しくて、身体が、気持ちが真紀が欲しいって騒ぎ出す。  掻き毟って、しがみ付いて、そんで、ぐちゃぐちゃに濡らし合う。 「ぁ、真紀っ、真紀」 「っ、ごめん、イくっ」 「あ、ぁっ、ぁっン、あっあああああああ!」  謝りながら、これっぽっちも申し訳なく思ってなさそうな荒々しさで俺を抱く真紀に抱き付いて、しゃぶりついて、狭くてきついそこで抱き締めた。抱き合いながら二人で同時に達して、乱れた呼吸も唇近くで混ざり合う。 「ン、真紀の、まだドクドク言ってる」 「っ」 「すげ……ン、真紀、気持ち……イイ」 「……」 「真紀」 「……ねぇ、誉さん」  内側で感じる自分とは別の鼓動に似た脈打つそれに、バカみたいにドキドキする。なんか、繋がってるなぁって、思って、少し感動すら、してたんだ。 「ん?」 「今すぐじゃなくていいから、一緒に、住みませんか?」 「……は?」  感動してたんだ。セックスが快楽と気持ちイイだけじゃなくて、こんなふうに。 「一緒に、住みたいんです。貴方と」 「ちょっ」 「そしたら、車を停めるとか気にしなくていいし」  こんなふうに。 「仕事帰りとか待ち合わせなくてもいい」  満ち足りた気持ちになれるもんだって。 「とにかく、貴方と一緒にいたいんです」  感動してたのに。なんで。 「ダメ?」 「んっ……」  なんで、こんな気持ち初めてなのに、なんで、その上をいく感動とかくれるんだよ。 「誉さん」 「バカ、知らない、からなっ」 「誉さん?」 「俺はお前がいいけど、もっと、ぁっン……もっと、他に美人の可愛い奴が出てきたって、ンっ……ン、もう、俺は別れたり、とか、はぁっン」 「貴方がいいんです」  しかも、ホントさ。 「誉さんが、好きです」 「っン、ぁっバカっ」 「一緒に、いたい」 「ぁ、あっ」  ホント、なんで、シチサン眼鏡のくせに。 「ン……俺も……」 「誉さん?」 「真紀と一緒にいたい」  真面目なくせに、こんなワガママで強引で、そんで、絶倫なんだよ。セックス二回戦の勢いで中ででかくしながら、腰揺らしながら、こんな大事な告白とかして。 「誉さんの中、すごいきゅんきゅんいってる」 「ばっ、ンっ……ん、バカぁっン、仕方ない、だろっ」  好きな奴に抱かれてて、そこをきゅんきゅんさせないなんて、無理、だろ。 「好き、真紀、もっと、中出し、して」  だから、ぎゅっと抱き締めて、ぎゅっと抱き締められて、甘くてやらしくて気持ちイイセックスの続きを貪った。

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