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ホワイトデーSS 7 甘い雫
くちゅりと甘い甘い蜜音を真紀の舌が動く度に、俺がソファの上で身悶える度に、聞こえた。
「あっ、ぁっ、んっ、ま、きっ……や、だっ」
そんなとこ、舐めるなよ。
「きたなっ、ぁっ」
一度ちゃんと射精したくせに、また硬くなってるペニスは壊れたみたいに先走りでびしょ濡れになってた。真紀の舌に反応するように、ピクンって揺れて、はしたなく涎を先端の小さな口から零してる。舌で――。
「あ、あぁぁぁっン」
真紀の舌で、身体が内側から濡れていく。
「あ、ぁっ」
真紀の舌に、孔をほぐされてる。
「ダメっ、だって」
ソファの背にしがみついて、子どもみたいにイヤイヤをしながら、孔を舌で濡らされてる。
「あ、あっ、ン、ぁっ、中っ、に」
そのことに、どうしようもなく悦がってる。気持ち良くて、はしたないって、こんなのあとで冷静に考えたら、絶対にどん引きだってわかってるのに。
「やぁ……ン」
もっとして欲しくて、たまらない。
「あ、真紀」
舌で孔をやらしく濡らして欲しい。真紀のその唇にキスして欲しい。真紀のペニスを咥え込んでしゃぶりつくはしたない孔に、キスが欲しい。暴いて、抉じ開けて、指でもっと奥まで柔くして。
「あ、ン」
それからもっと太くて硬いので、舌よりも熱くて、指よりもずっと奥に届く、真紀のを挿れて欲しい。早く、ちょうだい。真紀のをそこに挿してよ。掻き混ぜてよ。
「真、紀」
ぴちゃりって、やらしい音がして。舐められた孔が突然なくなった甘い快楽欲しさにヒクついた。
「言って?」
「真……」
振り返ると、真紀が、びしょ濡れになった口元を手の甲で拭った。粗くて雑なその仕草に、真紀のペニスに突かれたがってる奥のところがきゅぅって物欲しそうにしたのを感じた。
「俺は、貴方を愛してます」
「……」
骨っぽくて、綺麗な真紀の手が俺の手に重なる。ソファにしがみついてた俺に覆い被さって、膝立ちの姿勢になり、上半身を屈めると、愛撫に乱れた真紀の前髪がヒラリと額を隠した。
「きっと、貴方が思っている以上に、俺は貴方を愛してます」
「……」
「それこそ、貴方が欲しがるものを欲しがるだけあげられるくらいに」
「……な」
「引かないから」
とろん、って、甘雫が胸を濡らした。
「貴方がいくら欲しがっても、引かないよ」
「……」
「これは命に代えても誓います」
「真……」
「心の底から愛してます」
欲しがりすぎたら怖いと思った。今はいいけど、って、どこかでおっかなびっくりだった。
「っ」
「心の底から愛してます」
「!」
「本当です。すごく愛してます」
「真」
「愛してる」
「っ」
「ずっと、貴方だけを愛してます」
「ちょ」
「愛してます」
「も、もう、わかったからっ!」
何回言う気だよ。愛してます、なんて告白の仕方、普通しないだろ。クサすぎだ。どんだけテンション上がったって、プロポーズだって、そのフレーズはそんなに使わないっつうの。恥ずかしいじゃん。愛してますなんて連呼しない。照れくさいじゃん。真っ直ぐにそんなこと言うのなんて。お前くらいしか。
「……真紀」
真紀くらいしか、そんな告白。
「わかりました? ちゃんと」
できないっつうの。
「っ」
目から零れた甘い雫が頬を伝い落ちる。愛してるなんて、告白連呼は、真紀くらいしかできねぇよって、笑って、そんで、濡れた唇で真紀にキスをした。
「あっ、あン、真紀っ、もっと奥突いて、ぁ、あっ」
はしたなくてエロいのが最高に興奮するとかさ。エロ可愛いのがいいとかさ。スケベなネコとか最高だとかさ。そんなの最初だけ。普通は、な。
「ぁ、んっ、そこ、好きっ、真紀、の、太いの気持ちイイっ」
けど、相手は真紀だからさ。
「あ、あっ」
「他には?」
「ン、ぁ、乳首、も、欲し、い」
シチサン眼鏡のガチガチ童貞リーマンのくせに。
「もっと、やらしく言ってください」
セックスの時はやらしくて、ゾクゾクするほど色っぽくなるような男だから。
「あっ……俺の乳首、も、舐めて。歯、で齧って。コリコリになってるから、早く、可愛がって欲しい」
「もちろん」
「あ、ぁ、あああああっ」
「いくらでも……」
言いながら、乳首に歯を立てられた。ツンと硬く勃ってるそれに歯を突き立てられると痛みと快楽が混ざった際どい快感におかしくなる。
「ひ、ぁっ」
もっと欲しい。真紀にぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて、壊れるくらいに乱されたい。
「いくらでもあげるから」
「あぁっン」
やらしい腰使い。前立腺をペニスのカリで引っかかれて、身震いするほど感じまくれば、奥の、指じゃな届かない奥を小刻みに突かれる。浅いところも、全部、全部。
「いくらでも欲しがって」
全部、真紀に可愛がられたから、真紀しかやだってしゃぶりつく。この男の指に、舌に、声に、一瞬で発情するようにたっぷり可愛がられたんだ。
「あ……真紀」
「はい?」
「中出し、がいい」
そっと、手を、繋がった孔へと伸ばした。人差し指と中指で真紀のペニスを挟めば、太くてガチガチに硬いのを孔の口が咥えてるのを実感する。根元まで突き立てられて、真紀のここが俺の中にいるんだって感じる。
「俺の中でイって」
「はい」
「あっ、ン、一回じゃ、やだ」
「ええ」
「たくさん、中出しして」
「いいですよ。前は? ここ、触って欲しい?」
コクコク頷いた。触って欲しいのはカウパーでびしょ濡れになって、真紀の動きに合わせて揺れる俺の。
「あ、こっちも、いじって」
それと乳首もして? 赤くてツンツンしたここんとこも触って欲しいんだ。
「あとは?」
あとは……。
「キス、も」
「それから」
「あっン」
あとは、あとは。
「じゃあ、俺もひとつ、いいですか?」
「? ぅ、ん。何?」
「貴方を」
あとは、あとは。
「貴方を、俺だけのものにしたい」
「バカ」
あとは、真紀を独り占めしたい、って、また欲しがりすぎるかもと躊躇うところだったのに。
「俺のこと心の底から愛してくれるんだろ?」
「……」
ぎゅって抱きついた。
「じゃあ、いっぱい愛して。俺の中、真紀でいっぱいになるくらい中出しして? そんで、俺が壊れるくらい抱いてよ」
「……」
「あぁぁン、も、ダメぇぇぇって、啼いちゃうくらいイかせっ、ぁあ! あっ」
「いいですよ」
「あぁぁあっ、ぁン」
両手を奪うように束ねて、ソファに押し付けながら、真紀が唇を犯してくれる。舌を差し込んで、唾液が零れるくらい深いキスで呼吸まで食らうように濃厚な口付け。乳首を指で爪でたっぷりといじめながら、絡みつく身体の奥をペニスで可愛がって。
「あっ」
「……いくらでも」
「あぁぁぁぁあっ」
不敵に笑う真紀の腕の中で、甘い甘い激情に愛されまくった俺は、いつもの「俺なんて……」のフレーズを考える暇がこれっぽっちだって、なかった。
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