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お仕事チェンジ編 4 駄々っ子はあれもしたいこれもしたい

「そ、そんな……そんなことってあんまりじゃないですか!」 「仕方ないだろ」 「今日、なんの日だと思ってるんですか!」 「クリスマスだろ」 昼間はシチサン眼鏡。夜はただのイケメンがベッドに突っ伏して悲しんでいた。聖なるクリスマスの夜に。 「なんでそんなしれっと言うんですか!」 「訊いたのお前じゃん。そんで、これは、お前のためだって」 と、思ったら顔をいきなり上げた。 「俺のためだなんて言って誤魔化さないでください!」 「俺たち離れた方がいいんだよ」 めっちゃ必死な顔してる。クリスマスなのに。 「いきなりそんなこと言われたって! 無理です! 俺は貴方といたいんです!」 「わかってるよ。けど、お前のために俺はっ」 「なんでっ!」 だってお前さ。 「なんで! 腕枕しちゃダメなんですかっ!」 「腕、筋肉痛じゃん」 「ガビーン」 ガビーン、って、擬音を思いっきり口にした。このシチサン。いや、今は寝る前で髪をシチサンにしてないからただのイケメンだけど。 「腕枕くらいさせてくださいよ!」 なんだ、その駄々っ子。 「だって」 「あだー!」 普通に真紀の二の腕をぎゅっと掴んでみた。ただそれだけで、腕もげた? ってくらいに奇声をあげて悶えるくらいに筋肉痛なんじゃん。痛いんじゃん。ここに一晩中人の頭乗っけたい? お前、知らない? 案外人の頭って重いんだぞ? 体重の何パーセントだっけ。忘れたけど「へぇそんなに重いんだ」って驚いたのは覚えてる。その頭をこの腕で、これで腕枕とか全然無理だろ。無理してまでするもんじゃないだろ。 腕枕なんてさ。 「えっちもしちゃダメって言うし……クリスマスなのに」 「そりゃお前、そんな身体中バッキバキにしてできるわけないじゃん。それにクリスマスは関係ないだろ」 「あります! すごくあります! それにただの筋肉痛ですもん」 もん、ってお前、可愛いな。 「明日、土曜だぞ?」 「えぇ、今日が金曜でクリスマスですから」 「お前ね、年末の土曜の整備場なめんなよ」 こう言うとこはすげぇ頑固なんだよな。 「……知ってますもん。営業してんですから、年末の、クリスマスのある年末の土曜の忙しさなんて」 思いっきりふてくされやがって。 「……腕枕くらいいいじゃないですか」 それをして欲しいとされる側が駄々を捏ねるならまだしも、腕枕をしてやる方が駄々を捏ねるってどう言うことだよ。腕が痺れるだけだし、寝返りだって打てないし、良いことなんて何にもないだろうが。 「クリスマスプレゼント」 「それは土日が終わったらな。火曜が店定休だろうが」 「……ケチ」 普段はシチサン眼鏡のくせに。 「……ったく、ほら」 「うわっ、あ、あのっ、誉、さんっ?」 「スッキリして寝ちまえ」 「あ、あのっ」 下着の中に手を入れると嬉しそうな顔しやがって。 「誉、さんっ」 すぐに硬くするなよ。 「っ、誉さんっ」 「今日は挿入なしな」 「えぇぇ! クリスマスなのに」 「しつこい。それに準備してない」 「準備なら」 そんなに残念がるなよ。俺みたいなののどこが。 「ダーメ、だっつうの。俺も明日その土曜に整備なんだから」 「ふぐっ」 「こっちはクリスマスが終わったらな。今は、ほら、お前も一緒に扱いてよ、ぁっ……ン」 どこがそんなに欲しいんだか知んねぇけどさ。 「あ、あ、あっ、真紀ぃ……あっン」 真紀が俺のことを欲しがってくれるのが気持ち良いって思う。 「あ、真紀の、ガチガチっ」 「そりゃ、貴方に扱いてもらって、っ、ますから」 真紀の、気持ち良さそうにすぐに硬くなったそれを自分のと一緒くたに扱いてく。裏んとこが擦れ合って、気持ち良くて、俺のよりも少し反り返ったここのさ、曲がったとこがいっつも俺の中で。 「あっ!」 たまんないんだ。真紀とのセックスは。気持ち良くて、美味しくて。この低い声がセックスの時、俺を呼ぶのも、その薄めの唇から溢れる吐息がだんだんと荒んでいくのも。いっつもしっかりびっちりシチサンの髪が乱れて眉間の傷を隠すのも。この舌にしゃぶりつきながら、中をたくさん突かれると。 「誉さん、キス、欲しそう」 「欲し、あっ、んん」 夢中になって扱いてた。 真紀のあっついこれに自分のを擦り付けながら、クチュクチュ音をさせながら。 「やらしい、誉さん、こんなにカウパー溢して」 「あっ、だってっ」 今日は俺のスイッチ入るの早い。 「あ、真紀っ」 理由は簡単。 「それ、気持ち、ぃ、あ、あキス、欲しいっ」 「待って、もう少しだけ」 「な、んでっ」 「もう少し、貴方のその声聞いてたい」 「やぁぁぁっン」 真っ直ぐに俺を欲しがってくれるから。お前に欲しがられるのが、まず、たまんなく気持ち良いんだ。真っ直ぐにさ、俺だけを、ものすごく欲しがってくれる。 「やぁぁっ、乳首、今っ」 「誉」 「あ、あ、あ、あ、噛むな、よっ、イクっ、あ、あ、あ」 それだけでイケるくらいに。 「あ、イクイク、イッ…………ンンっ、ん、んくっ」 真紀が気持ちイイから。 整備士って言うのは頭も必要だし、勘も必要だし、体力も必要。そりゃナヨナヨしてる可愛いネコなんかじゃいられない。 「だから、腕枕はダメだっつうのに……」 そんな可愛くないネコなんかのどこがいいんだか。 「全身筋肉痛のくせに……」 夜中に目が覚めたら、思いっきり抱きしめられていた。真紀の片腕を枕代わりにして、もう片方の手は俺の腰を自分のほうに引き寄せるように抱きついて。 抱いたって心地良さなんてこれっぽっちもないだろう、俺の身体をギュッと抱き締めて。 「……誉さ……ふにゃふにゃ」 「ップ」 思いっきり漫画みたいな寝言? 寝息? を溢す真紀の寝息はものすごく気持ち良さそうに、寝心地良さそうに聞こえて、俺は夜中真っ暗な部屋の中でくすぐったくてたまらなかった。

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