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夏だ、海だ、海だ、青……編 5 青空の下で
日差しが暑いけど、それ以上に、引き寄せる腕の力の熱さと強さにクラクラした。
「ちょっ、おまっ、ここ外っ」
「見えません」
「こ、らっ」
引き寄せて身体がぴったりと重なった。本当に営業? って訊きたくなるくらい、力仕事の多い俺が逃げられない強い腕に閉じ込められたまま、見られたら、どうやったって誤魔化しようのない甘くて濃厚なキスで口を塞がれる。
キスが深くて、気持ち良すぎる。
さっき犬と散歩をしている人とすれ違った。海水浴はできないけれどって砂浜で遊ぶ子どもだっていた。ここは外で、ただ岩で周囲から見えないだけ。もしかしたら、子どもが遊びながらこの岩を登ってくるかもしれない、かくれんぼをしにここへ来るかもしれない。足首当たりまで濡れても構わなければ、ここは絶好の隠れ家だろうから。
だから、ダメなのに。
「ん、はっ」
人が来るかもしれないのに。
キスに夢中になる。
真紀の腕を諭せないでいる。
「ン、ぁっ、はぁっ」
それでなくても毎日忙しくて、帰りも遅いし、帰ってからも風呂入るのすら苦労するくらいに疲れきっていて。
「誉、さんっ」
「っ」
ご無沙汰、なんだ。
「誉さんの、勃ってる」
腰をあからさまに押し付けられて、硬さを確かめるようにされると、きゅっと下腹部がきつくなる。それに、真紀のが当たって。
「っ、お前も、だろっ」
「俺は、勃起してますっ!」
それをそんなカッコイイ顔で言い切るなよ。
「無理、だ。こんな誉さん、目の前にして、我慢できそうに、ないっ」
途切れ途切れなのが、また興奮した。
「待っ、っ」
暑くて。
「っ、真紀っ」
熱くて。
「あっ、はぁっ」
理性、溶ける。
「っ、あっ」
「前、トロトロだ」
忍び込んできた手に下着の中で扱かれると、カウパーが溢れて、真紀の手の中で、波音とは全然違う、甘ったるい水音をさせた。
「言う、なっ」
だって、今夜は、するだろ?
「指、挿れさせてください」
「っ、あっは、っあ」
セックス。
今夜は、するって、思ってたから、期待してたんだ。だから。キス一つで、身体が火照る。火照って、張り詰めて、ほら。
「っ」
パンツごと下着を太腿まで引っ張り下げて、興奮を見せつけた。
「ローション、ない、から、手、貸して」
小さくそんなことを言ってから、真紀の手ごと自分のを握ると、ゾクゾクしてたまらない。でかい手、長い指。
この手に扱かれたい。
この手に腰を鷲掴みにされたい。
「あ、あ、あ」
「誉さん」
「っ、はぁ」
耳にキスをされながら名前を呼ばれたら、もっと前から透明なのが溢れて、真紀の手をひどく濡らした。
「真、紀」
もう、ほら、その長い指を挿れて欲しくなる。
だから、後ろ向きになって、岩に片手をついて、もう片方の手は真紀の指の挿入を邪魔しないように尻を掴んで広げてる。
「あっ」
長い指が挿いってきた。
「はぁっ」
気持ちいい。
真紀の指。
長くて、関節のところが少しだけ太くなっていて。爪はいつだって綺麗に整えられている。
「あぁっ、そこっ」
「ここ、誉さんの好きな場所」
「あ、あ、あ、そこ、もっと」
「二本に増やします」
「あっ、あぁぁっ」
俺の中を撫でる時に傷つけることのないよう、短く、丁寧にいつだって切り揃えられてる指先。いつだって。
「はぁっ、あ、あ、あ」
「中、すごく熱い」
「あ、あ」
たまらない? この中にそれ、挿れたい?
振り返ると、岩でできた影のせいか、それとも興奮してるのか、真紀の瞳の色が深く濃く見えた。
「誉さんっ」
「あ、あ、あ、指っ」
長い指が奥を撫でて、口を開くように二本が広げて。
中に挿れたそうな顔をしてくれるのがたまらなかった。喘ぐ度に、孔の口をキュッと窄める度に、指で撫でられてる中をきゅんって締め付ける度に、もう入りたいって顔をして、喉仏を上下させてくれるのがたまらない。
「真紀、も、これ」
欲しくてたまらない。
「っ、誉さん」
何かに急かされるみたいに真紀のパンツと下着をとにかく引きずり下ろすと、中で苛立ったようにたくましくそそり立ってた熱が跳ね上がるように飛び出た。そのデカさに、一瞬眩暈がする。
これ、欲しい。
「誉さんの手、貸して」
「っ、あぁっ」
言いながら真紀の手が俺の手を掴んで、俺のを一緒に扱いてくれる。トロトロになったそれからまた溢れてた透明なのを今度はそのまま真紀の熱に擦り付けて。
「っ、はぁ、誉さんの手、気持ちいい」
しかめっ面でそんなことを呟く真紀が愛しくて仕方なかった。
「真紀」
だから振り返って、キスをして、それから。
「挿れて、早く」
「っ」
その唇を甘噛みしながらそう呟いた。
「あっ」
くる。
「真紀っ」
きた。
「あ、あ、あっ」
腰を鷲掴みにして、一気に奥までゆっくりだけれど、馴染む時間も惜しむほど、興奮に急かされたセックスがたまらなかった。
見上げても天井はなくて、抱き合って沈むベッドもなくて、しがみつけるシーツもない。
あるのは青空で、セックスにのぼせた足を冷やすようにせわしなく押し寄せる小さな波で、ゴツゴツして寄りかかることはできない岩肌で。
外なのに。
「あ、あ、ああぁっ、イク」
セックス、してる。
「真紀っあ、あ、あ、激し、ぃ」
場所もかまわず、激しいセックスに溺れてる。
「あ、イクっ」
「誉さん」
「あ、あ、イクっ」
奥を何度も強く突かれながら、快感を逃させないって片手で腰を鷲掴みにされて、もう片方の手に乳首を強く抓り上げられると気持ち良くてたまらない。
もう場所なんてどこでもいいから。
「あ、あ、あ、イクっ、イク」
声、聞かれてもかまわないから。
「真紀っ」
このままイきたい。激しく突かれながら、揺さぶられながら。
「あ、イクっ」
イかせて。
「あっ、っっっっっっ」
奥で真紀がビュクリって弾けた瞬間、キュッと強く乳首を抓り上げられて、キスで口を塞がれながら。
「っっっっ」
イッた。弾けた熱が。
「あっ……すご、真紀、の」
岩肌を濡らして、足元に押し寄せた波に溶けて。
「まだ、イッてる」
二人で青空の下、濃厚で激しいキスを交わした。
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