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四十三.
「くぅっ––––」
再び押し込まれた洋平を、涼は歓喜で迎える。
その熱い塊に自分の中が喜び絡みつくのがわかった。
「あっ、あぁ……っ」
激しい抽送は涼の体を思う様に揺さぶる。ソファの上に寝転んだ涼は、もう自分がどこにいるのかさえ忘れていた。目の前に洋平がいる。上から自分を見下ろし、その細身ながらも逞しい腰を自分に打ち付けて快楽に切なく表情を歪め、真っ直ぐに見つめてくる。
それがたまらなく愛おしく、涼は両腕を洋平に伸ばした。掴まれた太腿も、押し当てられる腰も熱かったが、もっと洋平の熱を感じたかった。もっと、近くに––––。
「う、んっっ」
意図を察した洋平は抱えていた涼の太腿をぐっと折り曲げ、自分の体を涼の体に近づける。
「んっ、ん、んあぁっ」
それでも腰の動きは止まらず、涼は喘ぎながらも目の前の洋平の首に腕を絡ませた。
「あら、いっ」
求めるようにその首を引き寄せると、ぐっと折りたたまれた脚のせいで腹が苦しくなったが、それでも涼は手を緩めなかった。
目前にきた洋平の顔を快感で潤んだ眼差しでしっかりと見据える。
吐く息は荒く、熱く、鼻にかかった甘い声が漏れ出し、それを余す事なく洋平の前に晒した。そんな涼を、洋平はまるで熱望していたかのように力強い眼差しで見返し、言葉にならない願いを聞き入れる。
「んん、んうん––––」
寄せられた唇を待つことなく、涼は口を開けて舌を差し出した。それを待ってましたとばかりに強く吸い上げた後、洋平は食らいつくように涼の口を塞ぐ。
「––––っ」
息もできないほどに深く重ね合わされた唇は、空気さえも邪魔だとばかりに密着していた。口内のあらゆる場所を舐められ、熱を持つ舌同士が絡み合う。嚥下しきれない唾液が涼の口元を伝うが、そんなことは気にならないほどにお互いの唇とその中の分厚い蠢く肉に夢中になる。
その唇が離された時、涼の意識は酸欠で朦朧としていた。そんな涼の鼻先や頰、瞼にまでキスを落としてゆく洋平の腰は、ゆるゆると涼の内壁を滑るように行き来する。そして涼の息がようやく整ったのを見計らったかのように、ぎゅっと上から涼の肩を押し付けた。
「あ、な……にっ?」
驚いた涼を上から覗き込んだ洋平が微笑む。
その優しげな微笑みに気を取られた瞬間、涼はあらぬ衝撃に体を震わせた。
「ああ……、や、あ、無理ーーくっ……」
いつの間にか涼の片脚を自分の脚の下に置いていた洋平が、体を起こしお互いの股間を重ね合わせるように深く腰を入れてくる。洋平の楔が涼の後孔にさらに押し入り、今まで一度も侵されたことのない場所を攻略してくる。
「あ……っ、あぁ、やあぁぁっ」
今まで責められていたそこよりも、さらに奥へ進んでくる洋平に、涼は腹の奥を突き破られるのではないかという恐怖に慄く。
「先生……先生、大丈夫だから、もっと俺を、中に入れて––––」
ごりっと最奥だと思われた壁を押し上げ、洋平の先端が涼の限界を押し開く。
「くうぅぅっっっんんんん––––」
奥の更に奥の誰も触れたことのない場所を、涼が犯す。
洋平は肉を押し拡げ、触れてはいけない涼の隠された扉を開いた。
「っっ……」
声にならない声を放ち、涼の体が大きく跳ねる。びくびくと痙攣する涼の体を押さえつけ、洋平は自身を引き抜くと、再び今度は容赦ない勢いでそこを突く。ぐりゅっと一度開いた扉は容易に洋平の楔の侵入を許した。
「っ、っ、んぁっっ!」
かつてないほどに頭の中をかき回し、脳のすべてを鷲掴みして揺さぶるような酩酊感に、涼の意識はすでにそこにはなかった。
ぐりゅっ、ぐりゅっ、と容赦なく結腸の入り口をこじ開ける感覚は、洋平以外の存在を忘れさせるのに十分な効果を持っていた。
「あっ、あっ、あっ、いいっ、きも、ちいっっ––––」
「んっ、俺も、気持ち、いい……」
明らかに快楽に上ずった低い声が、涼の耳へ届く。するとそれがことさら嬉しくて、涼が知らず笑みを作る。
「う、んっっ、あ、あっ、もっとぉ––––」
「うん、いいよ。いくらでも……俺の、貰って––––」
屈んだ洋平が涼の首筋に顔を伏せ、そこを思い切り吸い上げた。
「ひぁっ」
痛みともつかない感覚は、涼をさらに乱れさせるきっかけにしかならない。思う様に腰を揺さぶられながら、涼は自分がすでに吐精していることにさえ気づけずにいた。半端に勃ち上がったそれが、洋平の動きに合わせてぶるんぶるんと揺れるたびに、その割れ目から薄まった液を自分の体や洋平の腹に撒き散らす。それに気付いていた洋平も、涼がイったことに気づかないほどに最奥を抉られる快感に酔っていることが嬉しく、さらに乱してやろうと腰を使うのだ。
もっと、と強請られ、洋平が一度達した後も、涼は離れていこうとする洋平を脚と腕で引き止めた。
ゴムを、と言いかけ、
「や、そのまま、もっと……」
と、涙目で懇願する涼に洋平が屈さないわけがない。結局生でそのまま洋平が涼の中に二度出すまで、涼が洋平を離すことはなかった。
最終的に離したというより、意識を飛ばし離さざるを得なかった涼が、自分の痴態に赤面して言葉を失ったのは、次の日の、昼も近い時間だったのだった。
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