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第2話 ついてくる足音

コツ、コツと聞こえる足音。 辺りは静寂に包まれている。元々人通りの少ないこの場所であるが、日が沈めば更に人は滅多に通ることは無い。 何故この場所にいるかと言えば、「近道」だからだ。女と違い男の独り歩き、喧嘩の腕だってそこそこある。以前もこの場所を通ったが何も無かった。 だから今回も、そう思っていた。 しかし、今回は自分の他にもここを同じように通る奴がいるようだ。距離はあれど、後ろの方から足音が聞こえる。奇妙なことに自分の足音と後ろから聞こえる足音が重なるのだ。 暫く歩いていると、足音が重なるのは相変わらずだが、際程聞こえていた音よりも確実に近くで聞こえてくるのだ。それも、足音だけ。服の布の擦れる音、息遣い、物の揺れる音はどうしてか聞こえない。 流石に内心ヒヤリとする。早くこの場所から離れなくては、そう思い足が駆け出す。 「夜道には気を付けて」 耳元で声を聞いた。どこか笑いを含んだ声。

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