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epilogue

青、青、青……、 インク壺を返したように沖へ沖へと藍を深めていく大海に真昼の陽が差す。 波は玻璃を砕いたように踊り、 踊る……。 季節は12月、復学後もリハビリを続けて、ようやく遠出の許可が下りた。 「海晴、走るなって!砂に足を取られるぞ」 「平気、平気!颯介、竜胆の青が溶け出したみたいだ!」 砂を蹴って大きく両手を広げ、身体いっぱいに青を吸い込む。 こんなに全速力で走ったのは何年ぶりだろう? 手首に馴染む菫青色のブレスレットは選手時代に颯介が身につけていた物を譲り受けた。 『バイキングの羅針盤』とも言われ、不安を解消し目標に向かって正しい道へ進ませてくれるという。太陽光にキラキラと表情を変え、映す空の青と海の青が俺をあしたへ導いてくれるようだ。 水天を渡る風は冷たく、波打ち際まで来て俺は耳を澄ませた。ゴウと唸る風も寄せては返す波も磯の香も、俺には初めてのものばかりだ。 『青春』なんて古臭い言葉を叫びたくなる。 あしたをくれた颯介がくれた、 もうひとつの『あお』……。                                                                     Fin.                                                青いリンドウの花言葉        I love you best when you are sad.        ~あなたの悲しみに寄り添う~                                                   

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