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第4話
「……っん……んぅ」
トイレの個室に閉じ込められ、圭人は壁に押し付けられたまま西園寺からの激しいキスを受け続けていた。声は出せない。ロビーのトイレということもあって、さっきから頻繁に人の出入りがあるのだ。必死に背伸びして西園寺の肩にしがみついている。しばらくして人の気配が無くなると西園寺は唇を離した。圭人の頬が紅潮して瞳が濡れている。
「あの夜、なにがあったか教えてやろうか。君は男に抱かれてた」
「…………!」
圭人は息を飲んだ。やっぱりだ。圭人は相手の、西園寺の顔を確認しないまま部屋を飛び出したのだ。
「……なんで……そんなこと……」
「さぁ? なんでだろうな」
西園寺の長い指が圭人のスラックスのファスナーの辺りをさまよう。肩にかかっていた力が強くなる。
「いいのか? 小笠原製薬の御曹司が男相手に足を開いていたなんて知れたら……」
「つ、司さん……なんで……」
覗き込むと圭人は苦しげに息を吐いた。ボタンとフロントホックを外し、ゆっくりとファスナーを下ろす。手を中に入れると圭人のものは熱く脈打っていた。外に出すと緩くそれを扱き出す。思わず圭人は西園寺の肩に額を当てた。
「やめて……」
「やめないよ」
「なんで……」
なぜか、身を持ってわからせてやる。西園寺は思わず強く圭人を握りしめ、責め立てた。
「あっ……! 司さ……ん!」
ぐちゅぐちゅと淫らな音が響き、圭人は必死に声を堪えている。足ががくがくと震え、立っているのもやっとのようだ。西園寺は腰を抱き止め、圭人の耳元で囁いた。
「なんでって? 俺のプライドを粉々にしたお仕置きだよ。圭人。俺と君は付き合っているんだ」
「……えっ……?」
意味がわからない、というように圭人は何度もかぶりを振る。西園寺が最後の情けとして跪き、圭人のペニスを口に頬張った。髪に白い指が差し入れられ、掻き乱される。
「司さ……ダメ……」
「イッていいよ」
ぶるりと身体を震わせて圭人は西園寺の喉に白濁した液体を流し込んだ。最後まで飲み干して唇を拭うとそれを見下ろしていた圭人が口元を片手で覆った。うっすらと肌が紅潮して西園寺が立ち上がると腕の中に倒れ込んできた。
「……司さん……」
「君は俺のものだ。いいね? 意味なんて、わからなくていい」
圭人は小さく──しかしはっきりと頷いた。
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