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8 お出掛け前

 今日も朝から康介は元気だ。楽しみにしているD-ASCHのライブが近づいているから尚更だった。  僕は流行りの音楽やアイドル、テレビドラマなど、皆んなが楽しそうに話しているこういった娯楽が全く分からなかった。康介が楽しそうに話していても、全然ついていけてない。  そんな僕が誘われるがままライブに行った所で、果たしてちゃんと楽しめるのだろうか。そもそも康介と何処かへ出掛けるなんて事、今までなかった。僕が記憶していないだけかな? でも、康介どころか誰かと一緒に出掛けるなんてした事はない。そう思ったらちょっとワクワクしてしまった。 「康介……」 「ん? どうした?」  クラスメートとお喋りをしている康介に声をかけた。 「今度行くライブ、僕はどんな格好で行ったらいいかな?」 服装とか、持ち物とか……きっと僕の知らないルールみたいなのがあるかもしれない。康介を困らせちゃいけないと思ってそう聞いてみた。 「どんな格好って、女子か? 別に何でもいいんじゃね?」  鼻でふんと笑って康介がそう言った。僕はその「何でもいい」がよくわかってないのにな。 「だって僕、誰かと出掛けるの初めてだから……どうしたらいいのかちょっと困っちゃったんだ」  僕が正直にそう言うと、康介はポカンとして僕を見た。

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