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9 変わらない笑顔

 マジか──  竜の言葉に俺はハッとした。確かにそうだ。言われてみれば、俺は竜と付き合いが長いけど二人で出掛けたことは無かったかもしれない。遊んだのだって、小学校の時に竜の家で宿題を一緒にやったとかゲームをしたりとか、そんな些細な記憶しか残ってなかった。 「よし! なら今日、竜の家で洋服見てやるよ!」  そんな風に言われたら俄然お節介心に火が付いた。久し振りに竜の家にも行きたかったし、何より楽しみにしている様子の竜を見て嬉しくないわけがない。  学校が終わると一緒に下校して、竜の家にお邪魔する。 「あらぁ! 康介君、お久しぶり! 大きくなったわね。いつもありがとね」  小学生の頃に会った記憶から今も全然変わっていない竜のお母さん。相変らず小さな小学生相手に話すような口調がちょっと照れくさい。俺は挨拶もそこそこに、二階の竜の部屋に向かった。  竜の部屋は俺の部屋とは違って、無駄な物もなく凄い綺麗だった。早速持っている洋服を見せて貰うと、意外にもお洒落な服が揃っていて拍子抜け。心配して損しちゃった…… 「あー、問題ないんじゃね? このボトムと、このシャツでいいと思うよ。あ、 これかっこいいな」  俺は竜の持っている服をあれこれ並べて見ながらコーディネイトを考えた。竜はそんな俺のことをじっと見つめている。視線に気がついた俺はちょっと戸惑いながら「何?」と竜のことを見た。 「康介にそう言われると安心するね。うん、この服で行くことにするよ。ありがとう」  そう言って笑う竜を見て、俺は何故だかちょっとドキッとした。  幼稚園の頃から全然変わらない、純真無垢な竜の笑顔……  やっぱり可愛いんだよな、なんてぼんやりと思う俺はおかしいかな。

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