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27 いやらしいこと

 しばらくして、康介は用事があるからお先に、と言って帰って行った。  周さんと二人きり。康介がいなくなった途端、背中に感じる周さんの気配にドキドキして体が火照る。  今、周さんはどんな顔をしてるのだろう。顔を見ようとしたら、後ろからギュッて抱きしめられてしまった。  びっくりした。でも嬉しい。 「竜太?」  周さんが、そっと僕の首筋にキスをする。 「……んっ! ゾクゾクするからやめてください」  急な快感に体が跳ねる。どうしたって意識してしまう自分がちょっと恥ずかしい。首にキスなんて、周さんに揶揄われたのかと思いムッとして振り返ったら、そのまま僕は顔を掴まれキスをされてしまった。 「んっ? んん……」  今までの軽いキスとは違い、周さんの舌が僕の唇に触れた。舌がぬるりと交わり凄く変な気分。こんなの初めて……  執拗に周さんの舌が僕の口内を舐るから息苦しくなってしまった。気持ちがいいのと息苦しいのと、ぎゅっと抱きしめられていて身動きが取れないのとで、少し焦る。僕は慌てて周さんの胸元をトントンと叩くと、やっと唇が離れていった。 「んはっ……周さん?」  周さんは黙って僕を抱き寄せ、向かい合わせに座らせる。抱きしめる周さんの手が、僕の背中をゆっくりとなぞった。  ああ、ほんと、ぞわぞわする……  背中をなぞる手が腰に回り、また僕の唇を甘いキスで塞ぎながらその手が腰を弄りそのまま前へと……ちょっと待って! 「周さん! ダメです! 待って!」 「……なんだよ、とめるなよ」  周さんの手が僕の下着の中に入ってきて直接そこに触れた。 「あっ! ん」 「竜太 」  僕だって周さんが何をしようとしてるのかわかる。それがいやらしいことだってわかってる。ドキドキが止まらない……いけないことだと思っていても気持ちが良くて期待してしまうのが恥ずかしかった。 「周さん!  ダメ! やめて」  僕は思いきり周さんの手を引き離した。 「なんだよ。嫌なの?」 「えっと、いや……」  嫌じゃない。恥ずかしいけど、そうじゃない。 「そうじゃないです! だって母さんが下にいるでしょ。気づかれちゃったら大変……だから」  僕は精一杯小声で周さんに伝えた。嫌じゃないんだ。僕だって周さんにこんなことされて驚いたけど、嬉しかったから。 「そっか、そうだな、ごめんな」  シュンと静かになってしまった周さんに申し訳なく思った。 「周さん? 僕、好きです」  嫌じゃないんだってわかってもらいたくて、僕はそう言って首を伸ばして周さんにキスをする。僕の方からキスをすればわかってもらえるよね。 「好きですよ」  僕の言葉に周さんは照れ臭そうに笑ってもう一度キスをしてくれた。  周さんが帰った後、一人になってもドキドキが止まらなかった。  別れたばかりなのに、もう会いたい。  どんどん好きになっていく──

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