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37 休息

 僕はあれから三日間学校を休んだ。  そりゃそうだよね。体は動くし行けなくもなかったんだけど、顔に痣や傷をつけたまま学校に行くのはどうしても気が乗らなかった。皆にあれやこれや聞かれるのは目に見えてるし、聞かれなくとも好奇の目で見られるのはわかっていた。だからこの痣や傷が目立たなくなるまでなるべく人前に出ないように僕は家にいるようにしていた。  休んでいる間、夕方になると心配した康介や周さんが家に来てくれた。  康介には正直に話した。やっぱり康介も周さんのように「守ってやれなくてごめん」と僕に謝る。謝らないで欲しい、と思う反面、僕の事を大事に思ってくれてるのがわかって嬉しかった。  ありがとう──  周さんは学校に行ってる間もちょくちょく連絡をくれた。あの事には触れずに他愛のない話やくだらない話ばかりなのは、周さんの優しさ……でも授業はちゃんと出てるのかな? 今の時間は授業中じゃないのかな? ちゃんと授業に出てください、と怒らなきゃいけないのだけど、僕は怒れなかった。  休んでから二日目。うちに来た康介から、僕を襲ったのは権藤って奴かもしれないと聞いた。  かも……というのは、先生達もこの問題に触れることなく、話題に上げない。ただ隣のクラスの権藤という奴が退学処分になったという噂を聞いたからに過ぎないから。康介なりに色々調べてくれているのだろうけど、高坂先生から少しは聞いていたから、もう思い出したくもなかった。退学になって,あいつの顔を見ないで済むならそれでいい。  それよりも康介が権藤の話をしているのを周さんが怖い顔して黙って聞いているのが気になってしまった。  変なこと考えてないよね? 僕は大丈夫だよ?    どうにも周さんの様子が気になってしまい、僕は自分から周さんの手を握り心の中で何度も呟く。  大丈夫だから……  ね? 怖い顔しないで。  周さん。

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