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42 夏休みスタート
色々あったけど待ちに待った夏休みが始まった。
休みの前半は、少しだけど部活もあるので僕はしばらく学校にも出向く。文化祭に向けて作品を進めないといけないのに、中々テーマが決められないばかりか、これから行く旅行が楽しみ過ぎて僕に頭の中はその事でいっぱいだった。
いよいよ旅行が前日に迫った日、僕は部屋で持ち物の準備をする。
着替えと、タオルと……あとオヤツ。他にも何か準備はいるかな? 気になることもあったから、僕は康介に聞こうと思い電話をかけた。でも電話に出たのはお兄さんの陽介さんで、康介は買い物に出かけていて留守にしていた。陽介さんが明日は駅まで一緒に行こうと言ってくれ、僕の家まで迎えにきてくれるらしく安心した。
陽介さんとしばらくお喋りしてから、明日からよろしくお願いしますと挨拶をして僕は電話を切った。
今日は明日に備えて早く寝よう。
子どもの頃の遠足でもこんなにワクワクしたことはなかったかもしれない。ちゃんと寝られるかな? そんな心配をしながらも、いつも通り僕はすぐに眠りについた。
次の日──
目覚ましが鳴る時刻よりだいぶ早くに自然と目が覚めた。
どんだけ楽しみなんだろうね、と、起きるなり笑ってしまう。二度寝をして寝坊をしても嫌なので、このまま起きて身支度を始めた。
階下へ下りると母さんもすでに起きていて、洗濯機を回してる。休みの日も母さんは早起きなんだなと思いながら洗面所に向かった。
起きて来た僕に気付き、母さんがおはようと声をかける。なにか言いたげな顔を見せ、でも結局何も言わないまま慌ただしく朝食の支度を始めた。こんがりとトーストが焼ける匂いがして、僕はテーブルにつき、母さんが出してくれた朝食を食べた。いつもと変わらないいつもの朝食風景。少し焦げ目のついたトーストと、カリッと焼けたベーコンにサラダ。いつもと同じ朝だけど、今日は特別。これからのことを考えたら自然と頬が綻んでしまう。
「竜太、楽しそうね」
エプロンを外しながら母さんが僕の前に座った。
「竜太が最近楽しそうで母さん凄く嬉しいの。お友達と旅行だなん聞いてびっくりしちゃった。なんだか母さんまでワクワクしちゃって早起きしちゃったわ。ふふ……おかしいわね。康介君や陽介君が一緒だから心配はしてないけど竜太、皆さんにご迷惑かけないように気をつけるのよ」
僕に負けないくらい母さんも嬉しそう。
「それでね、これ……父さんには内緒よ。お土産楽しみにしてるからね」
そう言ってこっそり僕にお小遣いをくれた。
「ありがとう! じゃ、康介達来るからそろそろ出てるね。ご馳走様」
玄関から出て待っていると、康介と陽介さんが迎えに来てくれた。駅に着くまでの間に陽介さんが簡単に今日のスケジュールを教えてくれた。
まずはホテルにチェックインして荷物を置いたら、スタジオへ。夕飯の時間まで練習だって。
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