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46 ホテルにて
二時間程過ぎ、周さん達は少しミーティングがあるとかで遅くなると言うので、僕ら三人は先にホテルに戻った。
戻る途中のコンビニで食べ物や飲み物を購入していく。後でみんなで飲むんだって。陽介さんの会計を待っていると誰かに肩を叩かれた。振り返るとまたあの女の人三人組。
「あら! 偶然! お酒買ったの? いいね部屋で一緒に飲もうよ。三対三でちょうどいいし」
何がちょうどいいんだかさっぱりわからない。康介はこの人達を知らないからか圧倒されつつデレデレしていてちっとも役に立たなかった。
「君って見かけによらずはっきりもの言うんだよね。さっきの冷たい感じ、ちょっとドキッとしちゃった」
言いながらまたしても僕の腕に絡んできて、ひっついてくる。一々やめてほしい。僕はムッとしてすぐにその腕を振り払った。会計を終えた陽介さんが適当にあしらってくれなんとかホテルまで戻ったものの、結局部屋の前まで押しかけてきて困ってしまった。
「ねえここのフロアなの? ここ、このホテルで一番いい部屋じゃん、凄ーい」
へぇ、そうなんだ……ってそんなことはどうだっていい。こんなことをしている間にも周さん達が戻ってきてしまう。この人達が周さん達に絡んでる姿を想像するだけで物凄く嫌な気分になる。
「お姉さん達、困ります。俺ら仲間内で来てますので一緒には飲めませんよ」
いくら陽介さんが丁寧に断ってもなかなか帰ろうとしない。絶対部屋には入れまいと廊下で何とか帰そうとしているうちにとうとう周さん達が戻ってきてしまった。ほらみろ。あからさまに嫌な顔してる。圭さんは事態を察してすぐに陽介さんの隣に行き、やっぱり丁寧な口調で断っている。それでも全然引き下がらず、また僕の腕を捕まえくっついて来た。
「もう、冷たいんだから。一緒に飲もうよ 」
いくら断っても一緒に飲もうといって退いてくれない。挙げ句の果てにはまた僕を捕まえ胸を押し付けてくる始末。
「ね? いいでしょ」
女が言うや否や周さんがズカズカ来て女から僕を引き離し、グッと抱き寄せ僕の頭にキスを落とした。
「俺の竜太に気安く触んないでよ。俺はこいつとイチャイチャするために来てんの。お姉さん達には興味ないし、身の程わきまえてくれる?……ブスが! 早くあっち行けよ」
うわ周さん、凄い怖い顔。
空気が固まる。
僕らも固まる……
お姉さん達は、「ご、ごめんね」と、そそくさと帰って行った。やっと解放されてホッとしたけどちょっと恥ずかしい。怒っていたとはいえ、周さんも言い方がよくないと思う。少しの沈黙の後、修斗さんがぷふっと吹き出して笑った。
「なんだよ、周のせいで俺らも同類だと思われたんじゃね?」
「別にいいだろ、なんだって。俺と竜太の邪魔するのが悪い」
「はいはい、 そうですね」
みんなで笑い合いながら、とりあえず僕らは圭さん達の部屋に入った。
「ここのオーナーにさっきの女達を俺らに近づけないよう言っとくから」
このホテルのオーナーも圭さんのお父さんと知り合いらしい。だから部屋もいい部屋を押さえてくれてるんだとわかった。
「夕飯までまだ時間もあるし、ちょっと飲みますか?」
「いや、俺は温泉入る」
「あ、俺も!」
「そ? じゃ、いってら〜」
靖史さんと康介、陽介さんが温泉に行き、僕と周さん、圭さんと修斗さんが部屋に残った。
「乾杯。あれ竜太君はジュースでいいの?」
「僕、お酒飲んだことないんで。未成年だし……」
修斗さんがキョトンとしてからクスッと笑う。
「みんな未成年だし! 竜太君、可愛いね。面白い」
そもそもこの前の打ち上げの時も思ったんだけど、ダメなんだからね! お酒なんて。
「ところで竜太君は、その姿勢は厳しくないの?」
圭さんに心配された通り、僕は周さんの足の間、周さんに後ろから抱きかかえられた感じで座ってる。周さんと一緒にいるときは決まってこのスタイルになっていた。慣れてしまって落ち着けるし、何を隠そう座り心地も凄くいいんだ。そう答えると「大好きなんだね」と笑われてしまった。
※未成年の飲酒表現がありますが、飲酒は成人してからです。未成年の飲酒を推奨しているわけではありませんのでご理解の上お読み下さい
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