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47 夕食
そろそろ食事の時間なので、僕達は部屋を移動する。
僕達に用意された個室は意外にもモダンな雰囲気のある和室だった。この部屋もお洒落だなと、思わず僕は周りをキョロキョロしてしまった。少しすると温泉へ行っていた三人も到着した。
「やっぱりデカイ風呂は気持ちいいよな。後でまた行こう 」
長い髪を後ろに一つに結び、満足そうな靖史さん。ここのホテルもそうだけど、ここから少し歩いた所にも日帰り温泉の施設があるらしい。明日はそこも行ってみたいな。
みんなが揃ったところで、夕飯が運ばれてきた。どれもこれも、見た目も豪華でとっても美味しかった。みんなで食べる食事も楽しい。みんなでデザートまでしっかりと完食してから部屋に戻った。
僕らの部屋に全員集まる。
「あれ? 竜太君は飲まないの?」
やっぱり聞かれちょっと面倒くさい。でも、みんな楽しそうに飲んでるし、ちょっと味見くらいなら……なんて思い、こっそりちょっと飲んでみることにした。
苦い! と変な顔をしていたら修斗さんに見られてしまい恥ずかしい。
「竜太君はこっちにしておけば?」
そう言って、修斗さんはカクテルと書いてある缶を渡してくれた。甘くて美味しいそれを僕はジュースだと思って普通に飲んでしまい、周さんに「そんなに飲むな」と注意されても大して気にも留めなかった。
しばらくして気が付くと、圭さんと陽介さんの姿がないのに気がついた。
「あれ? 圭さんと陽介さんは?」
聞くと、部屋に戻ったと教えられた。
なんとなく頭の中がぼやけてしまう。どうしようもなくふわふわする体を周さんに預け、楽な姿勢を探してもぞもぞと動く。そんな僕を見て周さんは笑い、「俺らも部屋に戻るか」と小さな声でそう言った。
あれ? 僕の部屋はここだよ? 俺らも戻るってどこに戻るの? わけがわからず考えてると、周さんは僕の荷物を持って行ってしまった。
「んん? 周さん? 待って……」
急いで僕も周さんのあとを追う。ふわふわする足を必死に前へ出し、歩くのってこんなに大変だったっけ? と考えてたら段々可笑しくなってしまった。
わけもなく楽しくてしょうがない。早く周さんにギュってしたいな……なんて呑気なことを考えながら僕は周さんのことを追いかけていた。
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